平成29年度は,以下のような研究を行った.まず,当初,最終年度(28年度)末に計画されていた国際研究集会が,主たる講演者である海外研究者の予定の変更などにより29年度にずれ込んだため,本研究費を繰り越して,4月に研究集会を開催し,特に本研究で行ってきた力学系の位相計算的研究が,イギリスなどで盛んに研究されているランダム力学系とそれに関連する集合値力学系の研究と密接に関係することがわかるなど,今後の新たな研究の方向性についての重要な示唆が得られた. 昨年度から継続する switching system については,本研究の成果として論文を刊行した2次元の場合を一般次元に拡張するべく,Konstantin Mischaikow 氏,Tomas Gedeon 氏らとの共同研究を継続し,年度末までに一定の成果を得た.気象の時系列データに関する位相計算的アプローチについては,論文の執筆をほぼ完成し,投稿する段階に至った.今後は本研究で開発したノイズを含む時系列データに対する位相計算的時系列解析の方法を一般的な枠組みで整備していく予定である. また,これまでの研究成果について,Mathematical Congress of the Americas(モントリオール),The Third International Conference on the Dynamics of Differential Equations(広島大学)などの国際研究集会で招待講演を行った.
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