研究課題/領域番号 |
25287034
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永山 貴宏 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00533275)
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研究分担者 |
板 由房 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30392814)
中島 康 一橋大学, 情報基盤センター, 准教授 (40469606)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近赤外線 / 分光器 / 変光星 |
研究概要 |
本研究で重要な役割を果たす近赤外線分光器の開発を行ってきた。光学部品の調達、および、各種機械部品の設計・製作を行い、真空容器へのインストールと分光器全体での光学調整を行ってきた。 年度前半にこの分光器で使用する赤外線検出器の試供品のテスト駆動を行ったところ、この試供品が突然壊れた。検出器試供品が壊れた原因は不明であるが、その駆動に用いた読み出し回路の不具合の可能性も否定できない。本分光器で使用する赤外線検出器は、非常に高価、かつ、代替品の入手が困難であるため、万一にも壊すことはできず、その原因特定は非常に重要である。そのため、読み出し回路に問題がないかの確認を行ってきたが、現時点にでは、原因は特定されていない。 上記理由のため、本番用の赤外線検出器を用いた光学試験はできず、より安価で性能が劣るInGaAs検出器を用いて、波長1.0-1.6μmの範囲での試験を行ってきた。開発に遅れはあるものの、光学調整自体は順調に進んでいる。 近赤外線分光観測においては、その効率的な観測のため、スリットビューアが必須であり、本分光器も近赤外線波長帯でのスリットビューアを実装する。その光学系の設計・製作を行った。この開発は予定通り完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究で重要な役割を果たす近赤外線分光器の赤外線検出器の試験において、その読み出し回路が検出器を破壊する恐れがある問題を抱えている可能性が見つかり、その原因究明に時間が必要であった。 また、研究代表者の大学の異動が決まっため、その準備や体制変更に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の大学移動に伴う、近赤外線分光器の開発体制の移行を速やかに行う。また、問題が発覚した検出器読み出し回路については、その問題の追及と必要な対策を引き続き行う。 これらと並行して、分光器の光学系・冷却系の調整と試験を行う。具体的には、近赤外線LEDと試験用のInGaAs検出器を用いて、冷却環境下において、良好な光学像が得られるように光学部品の配置の微調整を行う。また、最終的な検出感度に直結する迷光対策として、遮光壁の製作・装置内への設置と装置内部の黒色塗装を行い、検出器へ不要な光が届くことを防止し、感度向上を目指す。 最終的な観測効率の向上のためには、優れたスリットビューアが必要であり、スリットビューア単体は昨年度完成しており、その装置内への設置と結像試験を行う。 以上の作業を行い、年度内に実験室内で分光器を完成させ、南アフリカ天文台へ輸送する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で使用する近赤外線分光器の開発が遅れているため、その開発費、および、観測装置使用場所である南アフリカ天文台までの渡航費用を使用しなかった。 近赤外線分光器は、26年度にも継続して開発を行う。また、26年度中に完成して、南アフリカ天文台へ輸送し、テスト観測を行う。この開発費、および渡航するための旅費として使用する。
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