研究課題
(1)微量の重元素を含む環境における種族II星の形成に関して:これらの形成環境である低金属度の星間ガスの物理状態を解明するため、低金属度ガスを衝撃波が通過した後に熱不安定性により多相媒質が形成される様子の3次元数値シミュレーションを実行した。それにより炭素イオンが冷却剤として重要な状況(比較的金属度が高い、もしくは輻射場が強い)では熱不安定性により二相媒質となるものの、水素分子が主要な冷却剤である重元素が非常に低い状況では熱不安定性は弱くなり、ガスは一相となることが分かった。多相媒質では乱流が長時間維持されるため星形成率が低くなるものと予想される。(2)宇宙初期における超大質量星の形成可能性について:超大質量星の形成の条件として、星形成収縮時に水素分子が全く形成されないということが必要と考えられている。昨年度の研究計画でこれに必要な紫外線輻射場の強度を見積もったが、今回は特に水素分子イオンの非平衡準位分布を考慮して再解析した。その結果、輻射場の特徴的な温度が数千度と低い場合にはこの過程を考慮しないと正しい値は得られないものの、宇宙初期において想定される輻射場はより高温であるので、前回得られた値で問題ないことが分かった。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画からさほど遅れなく研究が遂行できている。
だいたい当初の計画通り研究が遂行出来ているので、計画最終年度となる平成28年度の計画を予定通り遂行して、研究を完成させたいと考えている。
平成27年度は関連学会が当初予想していたほど多くはなく、また共同研究のための訪問回数も先方の都合により予想より少なくなった。それにともなう未使用額である。
研究代表者および研究協力者の学会参加および研究打ち合わせ旅費として平成28年度分に合わせて使用する計画である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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