研究課題
これまでに我々が開発してきた、冷たい暗黒物質宇宙論モデルに基づく銀河形成モデルの抜本的な改善が本研究の目的であるが、本年度においては、モデルに基づくモックカタログの構築が主な計画であった。京コンピューターを使用したN体シミュレーションについては、最終目的であった8192^3粒子による計算が前倒しで完了しており、それに関する論文も出版された。一方、銀河・AGN形成モデルについては、ほぼ完成はしているものの、最終段階において観測データと合致させるための微調整に時間がかかっており、モックカタログの構築までには至っていない。しかし、ある程度の範囲で観測と合致し、予備的な考察には使用可能なレベルでは出来上がっており、既に学会での発表も行っている。これについては、三年目の早い時期に論文が完成するよう現在進めている。また、本研究のメインターゲットの一つである、AGNのクラスタリングについては、現在の予備的なカタログを用いて様々な考察をすすめているところである。一部については、学会や国際会議などでも報告された。最終的にモデルが確定した段階で、クラスタリングに関する論文も完成する見込みである。本研究に関わるワークショップや、サーベイ観測に関する国際会議などでは、本研究が構築するモデルの内容や、クラスタリングをはじめとする暫定的な結果と考察について、積極的に発表を行ってきた。これは三年目も継続して行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
銀河形成モデルのベースとなるN体シミュレーションについては、予定を前倒しする形で完了した。一方、銀河形成モデルの開発については、コーディングは終了しているものの、観測データとのより良い一致を求めてパラメータの詳細なチューニングを行うことに時間がかかっており、若干遅れているが、三年目の前半のうちには終了する見込みである。
まずは、遅れているパラメータのチューニングを終了させ、モデルに関するメインの論文を作成する。同時に、モデルを活用した関連論文を進めていく。特に、AGNクラスタリングに関する研究を優先的に遂行し、すばるHSCを用いたサーベイ観測との共同をすすめる。
銀河形成モデルのパラメータのチューニングの遅れにともない、計算サーバーの購入も遅らせた。本格的に必要な状況を待つことで、最新の計算機を購入できるため。
次年度の早い時期に計算機サーバーを購入する。
京コンピューター等を用いて計算されたN体シミュレーションの成果やデータが公開されている。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (12件) 備考 (1件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: Advance Access ページ: 1-16
10.1093/pasj/psv021
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 450 ページ: L6-L10
10.1093/mnrasl/slv035
The Astrophysical Journal
巻: 794 ページ: id69 (8pp)
10.1088/0004-637X/794/1/69
巻: 441 ページ: 63-72
10.1093/mnras/stu561
http://www.imit.chiba-u.jp/faculty/nngc/