研究実績の概要 |
本研究の目的は、欧州共同原子核研究機構 (CERN) の LHC加速器による重イオン衝突によってクォーク・グルーオン・プラズマ (QGP) を生成し、グルーオン衝撃波の探査、ならびにQGP物性の解明を、我々が建設した ALICE Di-jet カロリメータ (DCal) を用いて行うものである。H26年度では、これまで我々が建設を進めてきた DCal 検出器の全モジュールの導入が2014年11月に無事完了した。また新たに導入した読み出しシステム(SRU)のコミッショニングも完了した。加えて、我々が主体となって進めてきた電磁カロリメータシステムによるジェット・光子トリガーの構築がほぼ完了し、2015年6月からの物理データ取得に対する準備が整っている。
既存のデータを使った物理解析では、「中性π中間子-ジェット測定(陽子-陽子衝突 7 TeV)」の解析に関して、ALICE 暫定結果 (Preliminary) の認証を経て、クォーク物質国際会議2014(ドイツ)、またATHIC 2014 国際会議 (大阪)にて結果を公表した。10月には、"ALICE Jet brainstorming workshop (CERN)" にて、筑波大学から6名が参加、発表した。日米合同物理学会 (Hawaii 2014) では、"Quark Gluon Plasma and Future Directions in Heavy Ion Physics at RHIC and LHC",(Hawaii 2014)を企画・実施(中條, D. Morrison, S. Sorensen)し、これまでわかったQGP物性と今後の将来計画について、包括的に議論した。3月には、「第2回 ALICE 日仏物理ワークショップ(Sainte-Maxime, フランス)」を開催し(主催者;Y. Schutz, G. Conesa Balbastre, R. Guernane, 中條)、日本からの参加者16名、フランスから20名、その他の国から約5名、計40名が参加、発表し、これまでの結果と今後の物理を議論した。
その他、ジェットを基軸としたハドロン生成の測定(方位角分布、π中間子HBT)も順調に進んでおり、上記の研究会にて初期成果を発表した。
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