研究課題
本研究では、太陽活動の11年~2000年スケールの変動に伴う銀河宇宙線の強度変動および太陽圏環境の変動を明らかにすることを目的としている。また、宇宙線変動が気候システムに及ぼす影響とそのプロセスを明らかにすることを目的としている。そのため、樹木年輪中の宇宙線生成核種・炭素14および南極氷床コア中の宇宙線生成核種・ベリリウム10の分析に加えて、樹木年輪中の安定同位体の分析を進めている。また、宇宙線が気候に作用する詳細なプロセスをトレースするため、気象データの解析も併せて進めている。本年度は、昨年度に引き続き、17世紀のマウンダー極小期と4万年前の樹木年輪について重点的に試料調整を進め、加速器質量分析計を用いて炭素14濃度の単年分解能での分析を行った。また、2600年前の太陽活動極小期についても炭素14濃度の分析を進めた。そのほか、20万年前付近を対象に、高時間分解能で南極氷床コア中のベリリウム10濃度の分析を進めた。また、宇宙線変動に対する気候応答を吟味するため、屋久杉および伊勢スギ中の安定同位体についても分析を進めた。酸素18と炭素13について、過去1000年間の変動をカバーする1年値データと、過去1800年間を概ねカバーするデータを得た。そのほか、加速器質量分析計による炭素14濃度分析のさらなる高精度・高確度化に向けて、昨年に引き続き基礎実験を行い、測定に先立つ加速器のチューニング手法の改良を行った。
2: おおむね順調に進展している
加速器質量分析計のチューニング手法の改良により、炭素14の高精度・高確度の測定が継続的に達成できている。また、ベリリウム10および安定同位体の分析も順調に進んでいる。
本年度も引き続き、樹木年輪中の炭素14濃度および氷床コア中のベリリウム10濃度のデータの取得を進める。また、樹木の酸素同位体データの取得を完了し、両者の変動の比較から、宇宙線気候変動に対する気候応答について地域差およびプロセスを明らかにする
炭素14の分析試料数に変更が生じたため。
炭素14分析のための加速器質量分析計使用料として用いる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 12件、 招待講演 8件) 図書 (2件)
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