研究課題/領域番号 |
25287056
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (90324368)
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研究分担者 |
毛受 弘彰 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10447849)
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
伊藤 好孝 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (50272521)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宇宙線 / 放射線計測 |
研究実績の概要 |
25年度に製作したシリコンピクセル検出器読み出し回路の動作試験を行った。本年度はシリコンセンサーは使用せず、ASIC操作用のFPGAコード等を作成し基本動作試験を行った。回路設計の間違いを修正し操作性を改善するため、連携研究者の田島との共同で新たなチップ読み出し回路を開発した。 多層読み出しによるミューオン望遠鏡と簡易カロリーメータのデザインを開始した。タングステンを出し入れすることで一粒子測定望遠鏡かカロリーメータとして利用できるようなフレームを検討し、これに利用するためのタングステン板を準備した。 モンテカルロシミュレーションによってシリコンピクセルカロリーメータのデザインを行うため、研究協力者のAdriani (フィレンツェ大教授)とともに、シリコンストリップ検出器を用いたカロリーメータの試験を行った。シリコンストリップ検出器とタングステンからなるカロリーメータを、CERN SPS加速器固定標的実験施設に持ち込み、100-200GeVの電子線と150-350GeVの陽子線に照射し電磁シャワーとハドロンシャワーの基礎データを取得した。また、GEANT4をもちいて同試験機のシミュレーションを行い、電磁シャワーの測定結果を正しく再現できることを確認した。また、この研究が派生研究RHICfにも有効であることを示した。 他グループとの議論では、LHC Forward Physics Working Groupのメンバーとして CERN Yellow Reportを完成し、その中に将来のLHC軽原子核衝突の必要性を盛り込むことができた。また、ATLAS実験メンバーとの議論を重ね、今後のLHCfとATLASの共同研究の議論が大きく前進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期開発基板のテストと改良型の開発は予定通りすすんだ。 粒子増幅部用タングステンを購入しカロリーメータ用ホルダを製作する計画はホルダの製作には至っていない。これは改良型基板のテスト結果に応じて最終形を決定するためである。改良型基板に問題がない場合は、すぐに製作に入ることができる。 試験用カロリーメータによるSPS加速器でのデータ取得は予定通り成功した。電磁シャワーの解析とGEANT4によるシミュレーションは予定よりも順調にすすんでおり、これらの基礎結果を根拠に最終的なピクセルカロリーメータのデザインに移行することができる。 LHC軽原子核実験の必要性はCERN Yellow Reportに記述され、LHCの Science Policy Committeeでも将来の可能性として議論された。
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今後の研究の推進方策 |
改良型基板を用いて早期にシリコンピクセル検出器からの粒子信号の読み出しを行い、宇宙線および加速器ビームによる高エネルギーシャワーを測定する。 加速器による基礎実験で検証したモンテカルロシミュレーションを用いて、LHCで使用可能なシリコンピクセルカロリーメータのデザインを研究する。実際の多粒子入射に対する分解能力を示し、将来の軽原子核衝突実現にむけた提案をできるよう準備をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
改良型基板の試験が完了しなかったため、カロリーメータ用フレームの製作を遅延させた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度早期に改良型基板の試験を完了し、カロリーメータ用フレームの製作を行う。また、必要であれば、若干の基板の改良を行う。
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