研究課題
平成28年度は、前年度パリで起きたテロによって共同研究を進めることが困難となっていた、最初期の星形成に伴う、宇宙再加熱の時期での磁場形成について、研究をまとめることに注力した。これは、名古屋2名、パリ南大学2名で行なってきた国際共同研究である。ここで考えるのは、初期宇宙に最初に形成された活動銀河核などから、紫外線が放射され、周囲の銀河間空間のガスをイオン化するという状況である。もし、この周囲のガスが非一様に分布していると、そこで電荷の分離が生じる。この分離によって、電場を作り、そこから磁場を生成する、というシナリオである。このシナリオ自身は、個別の天体に付随した磁場を生み出すに過ぎないが、標準宇宙論の構造形成理論に基づいて、活動銀河核の数密度の時間進化を理論的に評価することで、宇宙全体に生じる磁場の強度を見積もることが可能となる。その結果、最初期星形成の頃に、少なくとも、10^-18ガウスの磁場が作られることを確認した。この結果は、ガンマ線伝播から最近つけられた、銀河間空間の磁場の最低強度、10^-19ガウスと良い一致を示しており、興味深い。この結果は、現在、学術論文としてまとめ、査読付き学術誌に投稿中である。平成28年度には、この他に、宇宙紐のネットワークから生み出されるベクトル型の揺らぎから、初期磁場がどれだけ生成されるのかを調べた研究が、Proferess of Theoretical and Experimental Physicsに掲載された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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