研究課題/領域番号 |
25287060
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
本間 謙輔 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40304399)
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研究分担者 |
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アクシオン / 擬スカラー場 / 暗黒物質 / レーザー / 真空内四光波混合 |
研究概要 |
QCDラグランジアンのCP対称性は、QCDの非摂導真空構造(θ真空)を色濃く反映している。θ真空の位相値は、元来、任意でよい(CP非保存)にも関わらず、実世界では、極めて良い精度でゼロ(CP保存)となっている。このため自発的に位相値をゼロに収斂させる機構が必要となる。アクシオン場は、このために予言された南部・ゴールドストンボゾン(NGB)である。アクシオン場は、その質量に依っては、暗黒物質の有力な候補になり得る。これまでレーザー場と静磁場を用いてアクシオンの生成と崩壊を観測する手法や太陽内でインコヒーレントに生成されるアクシオンを地上の磁場を用いて崩壊させる方法を常套手段として探索が行われてきた。本研究では、静磁場を用いない新しい測定手法として、真空中で2色のレーザー光を集光し、真空起因の四光波混合過程の観測により、アクシオン(擬スカラー)場の地上探索を実施することを目的として、第1に、真空内四光波混合光を検知するための光電子増倍管からのアナログ波形自体を、高時間分解能かつ100Hz以上のレート(ぺデスタル事象取り込みのため)で記録できる読み出しシステムの導入した。第2に、基本波ωを水中に集光し、校正用の広波長域のコヒ―レント光を非線形光学効果により生成し、四光波混合光に相当する(2-u)ω(ただし、0<u<1)付近を選び出し校正用光源を作り出すことに成功した。この光源を探索用の光学系に同期させられるように組み込み、単一光子に対する光学系全体を含む検出効率の決定が可能となっている。第3に、焦点の極近傍のみを覆う小型の真空容器を製作し、残余原子起因のバックグラウンド四光波混合光の検出に成功した。その上で、原子起因バックグランド光を抑制しつつ、信号光である(2-u)ω光を、比較的調整が容易なスカラー場の場合の結合様式を要求した探索データを取得することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度当初の研究計画の9割は予定どおり達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
擬スカラー場であるアクシオン場の探索には、生成用のレーザー場に特殊な偏光組み合わせを導入する必要がある。今後は、そのための偏光制御系を構築して、スカラー場探索と同様に擬スカラー場探索を、比較的弱いレーザー場を用いて実施する。その後、レーザー強度をさらに3桁程度上げ、再度、バックグランドの定量化を進めた上で、より弱結合に対する感度の高い本格的な探索実験を実施する。
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