研究課題
最近私たちは結晶中の自由電子の非弾性散乱過程に光電子回折とは逆の吸収過程があり、エネルギー損失電子の角度分布に励起源の偏光や種類(光・電子)に関わらず、光電子回折模様とは真逆のネガコントラスト模様が観察されることを発見した。この「逆光電子回折」による新規原子配列解析法の開発と応用展開が当課題の目標である。1) サブmm大でステップのない2H-MoSe2劈開単結晶表面を得ることに成功し、光電子・エネルギー損失電子回折模様の系統的な測定を行った。表面で対称性の破れる特殊な構造で、ネガコントラスト模様発生機構解明に恰好な系である。化合物系でのネガコントラスト模様が励起エネルギーに依存して元素別の回折模様の割合が変化していくことを見出した。当初予想していなかった新しい現象である。2) 微量元素の光電子回折の解析において、エネルギー損失電子による定量的なバックグラウンド処理が重要である。本研究の中心的な成果がこの処理法の確立である。黒鉛層間化合物超伝導体の劈開表面原子配列ホログラフィー再構成(Scientific Reports vol 6(2016)36258)の成功につながった。他にもSrTiO3にドープされたRhのやSiOx/SiC界面のN原子の局所構造の研究成果がある。3) 新しい2次元表示型分析器として開発してきたPorjector for ESCA to Real-spece Analysis (PESCATORA)の国際特許出願を行った。4) 光電子回折に関する教科書の解説を2報(Springer,講談社サイエンティフィク)執筆した。後者の書籍においてネガコントラスト模様について詳述した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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