磁気異方性定数とそれに伴う保磁力は磁性材料の性能を左右する物性値である。本研究では磁性遷移金属単原子層ナノ構造の磁気異方性と保磁力を極限まで高めることを目指し、重金属表面上での鉄、コバルト超薄膜の磁性を研究した。W(112)表面上に鉄およびコバルトを蒸着すると単原子鎖構造が得られた。この原子鎖はバルクの鉄、コバルトに比べ、10~100倍の磁気異方性を示し、3T程度の巨大保磁力を持つ。ナノ構造体、主にナノワイヤの結晶方位を制御することでありふれた3d磁性遷移金属単体(Fe、Co)が高い磁気異方性と保磁力を有することを明らかにした。
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