研究課題/領域番号 |
25287085
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 昌利 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30313117)
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研究分担者 |
水島 健 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50379707)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 量子凝縮系 / 超伝導 / 量子秩序相 |
研究概要 |
本年度は、新しい量子秩序相である対称性で守られたトポロジカル相、特にトポロジカル結晶超伝導体を中心に研究した。以前から時間反転対称性や電子・正孔対称性が新たなトポロジカル相を導くことは知られていたが、最近、個々の物質の構造に特有な結晶群に由来する新たなトポロジカル相-トポロジカル結晶絶縁体-の存在が予言・実証され、新しいトポロジカル物質として注目を集めている。我々は、この新しいトポロジカル相を超伝導体で実現するための条件を明らかにした。特に、結晶群のうち鏡映対称性に注目し、ギャップ関数が鏡映変換に対して符号を変える場合には、スピン縮退した通常の電子系であっても、マヨラナ型励起と呼ばれるトポロジカル超伝導体特有の励起が安定に存在しうることを明らかにした。また、上で得たトポロジカル結晶超伝導体のアイデアを実際の異方的超伝導体・超流体であるSr2RuO4、UPt3、3Heに応用した。その結果、鏡映面に垂直な磁場下では、スピン三重項超伝導体の秩序パラメータであるdベクトルが鏡映面を向くと共に、系のトポロジカル欠陥や境界面に現れるトポロジカル相特有のギャップレス励起がディラック型からマヨラナ型に変化することを見出した。また関連して、UPt3相に存在するポイントノードが鏡映対称性によって得られる新しいトポロジカル数を持つこと、それに伴って表面にワイル半金属の表面状態と類似の平坦なバンドを持ったアンドレーエフ束縛状態が現れることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結晶群の対称性によって守られたトポロジカル超伝導体の理論に関して、本年度の目標としていたSr2RuO4のみならずその他の物質に関しても研究を拡張することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究より、より一般的な枠組みで「対称性によって守られた量子秩序相」の理論が展開可能であることが明らかになりつつある。具体的な系への応用と共に見通しの良い一般論の作成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
博士研究員の選抜・確保に時間がかかり、当初予定していた時期より遅れて博士研究員を雇用することになったため。 研究の促進を果たすために、機器を更新する。あるいは、必要に応じて短期間、博士研究員を雇用する。
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