研究概要 |
格子ひずみによって1つの鏡像面しか持たないような3角格子上の古典ハイゼンベルクモデルにおいて,Z2 渦の乖離を伴う2次転移がおこることをモンテカルロシミュレーションによって見出した.[Tamura, Kawashima, et al, JPSJ 77, 103002] この転移は鏡像対象性の破れと同時に起こる.臨界現象は2次元イジング普遍性クラスに属することが確認された.Z2 渦の乖離を伴う相転移現象として,確認されたものとしては,はじめてのものである.また,われわれは,量子 SU(N) ハイゼンベルクモデルに量子ゆらぎをコントロールする相互作用項を付加した SU(N) JQ モデルに関して,その量子臨界現象をモンテカルロシミュレーションによって調べた.このモデルでは,VBS 秩序変数を擬スピンとみなすと,4回対称性をもった古典クロックモデルに対応させることができるが,この転移を擬スピンのつくる渦の凝縮転移であるとする理論ではこの転移は2次転移となるが,一方で,対称性の一般的な考察から,これは1次転移であるとする考え方もある.われわれは,臨界指数評価の系統的なサイズ依存性を調べ,従来2次転移を仮定して評価されていた臨界指数の値は,サイズとともに,大きく変化し,信頼のできる評価には,さらに大きなサイズが必要であるとが分かった.[Harada, Kawashima, et al, PRB 88, 220408(R)] さらに,われわれは,トポロジカルな励起を伴う臨界現象をより効率的に研究するための手段として,標準的なものでありながら,並列計算にむかないとされてきたワームアルゴリズムを並列化する手法を開発し,10,000×10,000×16 のボーズはバードモデルについて立証計算を行った.[Masaki-Kato, Kawashima, et al, PRL 112, 140603]
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