研究課題/領域番号 |
25287106
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川端 和重 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (20261274)
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研究分担者 |
水谷 武臣 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 助教 (40451405)
根本 幸児 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60202248)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生物物理学 / 力学計測 / 多細胞システム |
研究実績の概要 |
多細胞生物の形成過程において、細胞達が集団で運動することは重要である。しかしながら、細胞集団による運動のメカニズムは不明である。本研究の目的は、多細胞集団が巨視的な形態を形成する際の力学機構を明らかにすることである。そのために、3次元培養環境でシスト構造を形成する細胞集団を用いて、細胞と細胞の接着を決定する因子の同定し、細胞と基質間の接着力と細胞が出す力の空間分布を評価する技術を開発する。力学バランスの観点から細胞達による集団運動の機構を解明する。細胞運動方向の3次元空間での持続時間を評価する。また、細胞集団の周辺のゲル基質を染色し、蛍光像の時間変化から細胞外基質における応力分布を解析するプログラムを開発する。さらには、数値シミュレーションを用いることによって、細胞集団の運動を数理的に表現する。 本年度は、細胞や細胞集団が細胞外基質に発生させる力の空間分布を計測する技術を開発した(2016 T. Mizutani, et al., Regenerative Therapy)。これにより、細胞運動と力の方向との相関関係を計測することが可能となった。また、力学的な因子の入力に対する細胞の生化学応答を調べることにも成功した(2016 A. Nukuda, et al., Biochemical and Biophysical Research Communications)。上皮細胞集団運動モデル細胞を用いて、空間的に力を出している細胞とそうでない細胞の制御に成功した。更に、生体内での細胞-細胞間接着タンパク質の欠損の効果を明らかにするために、ゼブラフィッシュの胚発生での細胞集団の運動を調べ、学会発表した (2016 水谷 日本生物物理学会年会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞や細胞集団が出す力の空間分布を計測する技術を構築したため
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今後の研究の推進方策 |
当初計画した通りに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞内の特定の生化学因子を欠損させた細胞株を樹立するために、どうしても年度またぎで消耗品を購入する必要があった。この費用を確保するために、次年度に繰り越しを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の消耗品費の繰り越し分を除き、当初の計画通りに進めていく。
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