研究課題
平成29年度は、房総沖スロースリップの解明のために以下のことを行った。1.海底圧力計を用いた房総沖スロースリップ域の観測と解析房総沖スロースリップのすべり領域を正確に把握するために、昨年度に引き続き、南東側に海底圧力計を配置して観測を継続した。また、データ解析については、昨年度は、圧力計データに線形トレンドと季節変動、2011年東北地震の影響(対数関数で近似)、スロースリップによる変動を組み込んだ関数をフィッティングし、スロースリップによる変動の推定を試みたが、今年度は、上記のようなパラメトリックモデルではなく、ノンパラメトリックな手法を使って変動を抽出することを試みた。ノンパラメトリックな手法の1つである特異スペクトル法を用いて解析を行った。その結果、トレンドや1年周期の変動などパラメトリックモデルと似たような成分が出てきて、これらの成分がデータに含まれている可能性が高いことを示すことができた。2.房総沖スロースリップを再現するためのシミュレーションモデルの開発今年度は、昨年度に引き続き、データ同化に必要な土台となる構造の決定を進めるとともに人工地震観測の4測線下から見つかったPHS上面からの反射波について、面的分布を求める研究を進めた。このため、従来2次元断面にのみ用いられていたtravel time mapping法を3次元に拡張した。その結果、強い反射がスロースリップ付近とその東側の沖合にあることがわかった。スロースリップ付近では、構造に大きな変化がないことから、うすく遅い物質がプレート境界にあることが示唆された。また、東側の沖合の反射は、この付近に速い構造が認められ、この影響で強い反射が出ていることがわかった。この結果は、5月のJpGU-AGU Joint Meeting、8月のIAG-IASPEI, 10月の地震学会、12月のAGUで発表した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tectonophysics
巻: 709 ページ: 44~54
10.1016/j.tecto.2017.05.001