研究課題
本研究の2年目にあたる平成26年度には、前年度に発見した高密度化SiO2ガラスの塑性流動について学術雑誌において発表した他、ダイヤモンドアンビルセル用のCO2レーザー加熱装置と試料観察光学系の高度化、および、小角X線散乱・X線回折同時測定装置の導入と立ち上げを行った。SiO2ガラスの流動性の変化の観察から、上部マントル深部の圧力条件で、ケイ酸塩メルトが低密度で高粘性の低圧相から高密度で低粘性の高圧相に相転移するというモデルを提唱した。CO2レーザー加熱装置に関しては、現在までに、アルゴン圧力媒体中のSiO2ガラスを加熱することが可能になっている。小角X線散乱・X線回折同時測定装置については、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設のビームライン(BL-18C)に導入した。装置試験を兼ねて実施したクオーツに対する実験では、アモルファス化の過程をその場観察することに成功し、6回(もしくは3回)の対称性をもつ比較的強い信号が測定されるなど、興味深い実験結果が得られつつある。ただし、目的とするSiO2ガラスの4配位⇔6配位相転移の中間状態を観察するためには、更なる装置性能の向上が必要であり、現在、その準備を進めている。この装置を有効利用するため、地球惑星科学とは直接的には関係しないが、新規の共同研究としてイオン液体の構造の測定を行ったところ、数万気圧までの圧力領域で極めて大きな変化が観察された。この研究は、共同研究者を主著者とした論文としてまとめられ、学術雑誌に投稿中となっている。
2: おおむね順調に進展している
高密度化SiO2ガラスの塑性流動について学術雑誌に発表することができた。小角X線散乱・X線回折同時測定装置の立ち上げもおおむね順調に進み、クオーツが加圧によってアモルファス化する過程をその場観察することにも成功している。
これまで進めてきたCO2レーザー加熱装置と小角X線散乱装置の高度化を早急に完了させ、ケイ酸塩ガラス・メルトの測定を本格化させる。また、放射光施設に平成27年4月1日付で異動したので、その環境を活かして、新しくXAFS(X線吸収微細構造)分光にも取り組み、ケイ酸塩ガラス・メルトの化学の理解も図る。
平成27年4月1日付での高エネルギー加速器研究機構への異動が決まり、異動先の実験室の状況などを勘案しながら、装置の整備を進める必要があった。
CO2レーザー加熱装置と小角X線散乱装置の高度化を早急に進める。また、新しく取り組むXAFS(X線吸収微細構造)分光のための整備を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)
High Pressure Research
巻: 35 ページ: 123-129
10.1080/08957959.2015.1028931
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 8437
10.1038/srep08437
Physical Review B
巻: 91 ページ: 014106
10.1103/PhysRevB.91.014106