研究課題
平成26年度は計画に掲げた技術的課題のうち,小惑星用三次元地理情報システムの開発と,小惑星高精度形状モデルの構築方法の確立に重点を置いて取り組んだ.小惑星用三次元地理情報システムは昨年度までに開発していたソフトにさらに改良を加え,解析作業に必要な機能の追加を行い,さらに実用性のあるソフトウェアとして完成度を上げることができた.また,これまで開発していたソフトはJavaによるスタンドアロン動作の版であったが,今年度はこれに追加して,基本機能が共通のウェブアプリ版をJavaScriptとOpenGLを用いて開発した.これによってより柔軟にデータの閲覧と解析が行えるようになる.小惑星高精度形状モデルの構築方法については,Shape-from-Shading法,Photometric Stereo法,ボクセルベース形状復元法の3つの手法について検討を進めている.このうち,Shape-from-Shading法による形状復元精度の3Dスキャナと模型を用いた検証が昨年度からの持ち越し事項となっていたが,今年度実施することができた.ただし,その結果として模型の画像セットを複数準備して条件を変えた検証を行う必要があることも明らかになり,これは次年度に実施を目指すこととなった.科学的解析では,昨年度から着手している小惑星表面の重力ポテンシャル分布と表面地質の関連に関する解析とマルチバンド画像データを用いた主成分分析による宇宙風化度の解析を引き続き実施している.
2: おおむね順調に進展している
計画と比較して実施時期の前後が生じているものの,全体としては順調に進展しているものと考える.
技術的課題の中で小惑星高精度形状モデルの構築方法の確立については,Shape-from-Shading法は手法としての確立はほぼ完了しているため,今後は精度評価を進める.Photometric Stereo法はLambert則を用いた多視点照度差法が完成間近であるため,今後はより現実的な光散乱モデルの取り込みを目指す.ボクセルベース形状復元法は平成27年度に実画像を用いた検証を目指している.科学的解析では,これまでの準備の集大成として,開発済みの小惑星用三次元地理情報システムを用いて小惑星イトカワ表面の地形的・地質的特徴をマッピングすることで内部構造に関するエビデンスを抽出し,rubble-pile天体の構造を明らかにする研究に着手する.
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Lecture Notes in Computer Science 8381
巻: 8381 ページ: 266–273
http://dx.doi.org/10.1007/978-3-319-05693-7_17