研究課題
平成27年度は,3つの技術開発課題「小惑星高精度形状モデル構築手法の確立」,「小惑星表面形状と表面アルベドマップの同時推定手法の確立」,「高精度形状モデルを基盤とした小惑星3次元地 理情報システムの構築」の完成と,その成果を活かした2つの科学的目標の解決「イトカワを構成するrubbleのサイズ頻度 分布の解明」,「宇宙風化度の地域差の分布の把握と天体全体の地質構造・地質活動に関する理解」に取り組んだ.技術開発課題のうち,一項目と二項目については海外の小天体ミッションで導入されているStereophotoclinometryと,これまで検討を進めていたStructure-from-Motion法を組み合わせて適用することで,短期間で高精度の形状モデルを構築できる目処を得た.また,ほかに検討を進めていたPhotometric Stereo法とボクセルベース形状復元法についても精度の検証を行った.三項目についても前年度より引き続きツールの開発を続け,小惑星の地理情報,地形情報に基づく解析結果を形状モデル上に直接記録できる機能の追加を行った.科学的解析も進め,小惑星イトカワ表面の衝突地形の分布などから,イトカワ表面の年代を推定し,イトカワ形成史を記述することができた.形状モデルでも明らかな通り,イトカワ表面は多数の粗粒物質に覆われており,通常の天体表面での衝突地形形成についての知見を直接適用することは難しいが,模擬物質を用いた衝突実験からイトカワ表面での衝突クレータ形成のスケーリング則を調べ,表面年代の推定に用いた.その結果,数Myr前にイトカワに全球的に表面を更新するイベントが起きていた可能性が示された.これはイトカワの回収試料の分析結果とも矛盾しない.イトカワを構成するrubbleのサイズ頻度分布には十分な制約を与えることができていない.これは今後の課題である.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
The 14th IAPR Conference on Machine Vision Applications (MVA 2015)
ページ: 341-344
DOI: 10.1109/MVA.2015.7153200
ページ: 551-554
DOI: 10.1109/MVA.2015.7153252
Proceedings of International Symposium on Smart Graphics 2015, Chengdu, China
Journal of Space Science Informatics Japan
巻: 4 ページ: 91-103