研究課題
基盤研究(B)
活発に噴煙・噴火活動を継続している桜島火山において火山ガス組成観測を実施するために、火山ガス感応起動型連続観測装置を開発し、桜島における試験観測を開始した。Multi-GASによる火山ガス観測は、通常山頂部等濃厚な火山噴煙が到達する場所を選定して実施するが、桜島では噴火活動が活発であるため、観測装置を設置できる場所は遠方の山麓部に限られる。予備調査により、山麓部においても火山噴煙が流下到達する場合はあるが頻度が限られるため、火山ガス到達時に観測装置を起動させ測定を行う事が必要である事が判明した。そのため、SO2濃度警報装置を改良し、大気中のSO2濃度を連続観測し一定値を超えた際にMulti-GAS観測装置を起動するシステムを開発し、桜島有村地区山麓に設置した。今回は1ppmを閾値として設定した。2014年1月15日~2月13日の約一ヶ月間に14回SO2最大濃度で2.0ppmの火山ガスの到来が観測され、その結果、CO2/SO2モル比/0.7-3.2、SO2/H2S=4.7-7.5、H2/SO2=0.04-0.20が得られた。東京大学地震研究所が実施する桜島における無人ヘリによる機動観測の一環として、無人ヘリにMulti-GAS観測装置を搭載して、山頂近傍での噴煙観測を実施した。無人ヘリおよびの観測では、噴煙位置の認知が困難であるため飛行径路の選定が困難であるが、今年度はSO2濃度計をモニターしながら飛行するシステムを採用したことにより飛行径路選定が改善され、最大SO2濃度2.7ppmの噴煙が観測された。同様に有人セスナ機を用いた観測を実施し、最大SO2濃度2.4ppmの噴煙の観測に成功した。山麓で得られてと同様の組成の推定に成功した。しかし、山頂近傍での結果は山麓での結果と比較して組成幅が大きく、その原因の検討が今後の課題として明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
感応検知型観測装置開発により桜島火山ガス組成の定量観測が実現した。無人ヘリ、有人セスナによる観測によっても有用なデータが得られたが、データのバラツキが大きく、その評価は今後の課題として残っている。
桜島における連続観測を継続することによりデータの蓄積による火山ガス組成変動要因の解析、および飛行観測により活動や噴煙状況の詳細な変化と組成の対比を行うことにより、組成変動要因の抽出を実施する。
感応検知型連続観測装置の開発に予定以上の時間を費やしたため、役務による飛行観測、および現地観測の回数が予定数を下回ったため。2年度、3年度に飛行観測および現地観測の実施回数を増やし、効率的なデータ取得を実施する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件)
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