研究課題
桜島においては、セスナ観測や無人ヘリなどを用いた観測を実施し火山ガス組成の特徴を明らかにした。2012-2015年の高放出量期のCO2/SO2比は0.5-1.4の幅を持つが比較的一定ではある。SO2/Cl比は5-20の間で変動しているが、この変動幅は森(2014)により報告されている2009-2013年にFT-IRで測定された昭和火口噴煙のSO2/HCl比=6-10と整合的である。SO2/H2S比は概ね10前後であるが、400と非常に大きな比が2014年12月と2015年1月に得られている。いずれの場合もH2/SO2比が通常の0.15前後に対して0.03前後と低い値が得られている。2015年後半以降の低放出率の時期には、SO2/H2S=0.6-2.5、CO2/SO2=20-150と、高放出率時期とは大きく異なる組成が推定され、脱ガス圧力の増加が示唆された。口永良部島においては2014年8月の噴火以降、セスナ機等によるMulti-GAS観測などを実施してきた。セスナ観測などにより測定された口永良部島新岳のCO2/SO2比は、噴火以前(2009-2011)と有意な変化は見られない。SO2/H2S比、H2/SO2比のおよび見かけの平衡温度は、2014年8月噴火後の2014年12月には高い値が得られたが、次第に減少し噴火以前の値に戻りつつある。2015年5-6月の噴火は、この火山ガス組成変化の傾向には影響を及ぼしていないように見える。H2/SO2比のおよび見かけの平衡温度の低下は、2014年8月噴火以降に生じた新岳地下の高温部分の温度低下が原因と考えられるが、この現象だけではSO2/H2S比の低下は説明できない。SO2/H2S比は脱ガス圧力に反比例するため、脱ガス圧力の増加も同時に生じている可能性が推定された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Chem. Geol.,
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