研究課題/領域番号 |
25287119
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 裕亮 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70415991)
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研究分担者 |
横井 覚 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 主任研究員 (40431902)
佐藤 薫 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90251496)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マッデン・ジュリアン振動 / 全球雲解像モデル / CINDY観測 / 大気海洋相互作用 / 熱帯気象 |
研究実績の概要 |
「地球シミュレータ」と東京大学の「FX10」を利用して、全球雲解像モデルNICAMを用いたマッデン・ジュリアン振動(MJO)の数値シミュレーションを実施し、シミュレーションデータを整備するとともにそのデータ解析を行った。CINDY観測期間中に発生したMJOイベントのうち、特に1番目と2番目のケースに着目して実施した水平格子間隔7kmの60日ハインドキャスト実験の解析から、MJOイベントが発生するタイミングの約1週間ほど前からインド洋全体において南北反対称性が卓越することが分かった。また、MJOの対流活発域の主要な構造であるスコールライン状のレインバンドが、インド洋上におけるMJO発生後、南北に蛇行しつつ東進する様子が解析された。この現象について衛星観測データの解析により検証したところ、このような南北の蛇行は現実にも発生していたことが分かり、赤道波動の1つである混合ロスビー重力波との関連が示唆された。水平格子間隔14kmで初期時刻をずらしながら行った60日間のアンサンブル実験を、海面温度分布を変更しながら複数実施した。その結果から、CINDY観測期間の2番目のMJOイベントは海洋大陸南東域における海面温度の季節変化にともなう昇温と関連していることが分かった。従来、MJOは大気のみのモード、あるいは、大気海洋相互作用のモードと考えられてきたが、本研究結果により大気海洋系に対する外部強制としての季節変化がMJOの存在を強制する場合があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NICAMを利用したCINDY観測期間のMJO再現実験とデータ整備については当初予定どおり進行したが、データ解析と考察の際に当初予定しなかった南北反対称性についての追加のデータ解析が必要となった。これらの追加調査のため、気候モデルMIROCを用いたMJOの理想化実験に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
NICAMを利用したCINDY観測期間のシミュレーション結果について、南北反対称性と海面水温の季節変化に着目した論文にまとめる。適切な下部境界条件を確定させ、MIROCを利用したMJOの長期理想化実験を実施する。また、理想条件の簡単モデルの定式化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果をまとめた論文を投稿中であり、論文が受理された際に掲載費用の支払いが生じるため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文の掲載に関わる費用として使用予定である。
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