研究課題
平成27年11月上旬から平成28年3月上旬にかけて、暗夜期間にほぼ連続してナトリウム(Na)ライダー観測を実施した。平成27年観測シーズンにおいては、大気温度、風速、ナトリウム密度の5方向観測を主に行い、約400時間分のデータを取得した。一方で、成層圏温度を高精度で導出するため、すべての望遠鏡を鉛直に向けて観測を実施し、約30時間のデータを取得した。さらに、高速データ取得を可能にするため、Naライダーのシステム改良を行い、最速0.2秒値のデータ取得を実現した。オーロラ活動が活発な2012年1月22日にNaライダーで観測されたスポラディックナトリウム層(SSL)の生成機構を調べた。このSSLは2118 UTから18分間観測された。2000-2300 UTにおいて、EISCAT UHFレーダーによりスポラディックE(Es)層が観測されており、Es層はSSL発生時間帯、SSLとほぼ同じ高度に位置していた。しかし、Es層内に存在するNaイオン密度の最大値を見積り、そのNaイオンがすべてNa原子に変換されたとしても、SSLのNa密度の21%にしか達しないことを明らかにした。そして、SSLのNa原子の供給源が、SSLよりも高い高度に存在していたNaイオン層であり、南西向きの強い電場がNaイオンを下方輸送し、SSL生成に支配的な役割を果たしたことを、Naライダー、EISCATレーダー、流星レーダー、フォトメータを組み合わせた総合的な観測データに基づいて、世界で初めて定量的に示した。他には、Naライダーデータを用いて上部成層圏温度導出を行い、客観解析データ(MERRA)と比較し評価を行い、手法の導出を確立した。また、5年分のNaライダーとEISCATレーダー同時観測データを用いてジュール加熱量の定量的評価を実施し、通常の手法では、多くの場合ジュール加熱量を低く見積もっているとの結果を得た。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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