研究課題
今年度は,白亜紀の凝灰岩に加えて,第四紀,第三紀の凝灰岩についても,アパタイトを用いたテフロクロノロジーの可能性について検討した.検討に用いたのは,第四紀については,阿蘇1-4火砕流堆積物および阿蘇1,4テフラ,耶馬溪火砕流およびピンクテフラ,今市火砕流堆物およびアズキテフラ,十和田大不動・十和田八戸火砕流堆積物,洞爺火砕流堆積物および洞爺テフラ,支笏火砕流堆積物および支笏第一テフラ,屈斜路火砕流堆積物である.これらの試料からアパタイトを抽出し,その微量元素組成を測定した結果,各火砕流堆積物とテフラの識別は可能であることが分かった.特に,強溶結した火砕流堆積物であっても,アパタイトの化学組成に影響はなく,同一噴火由来の新鮮な海洋コアのテフラと微量元素組成が一致することが示された.第三紀については中新世の室生火砕流堆積物(奈良県)および紀伊半島南部(三重県~和歌山県)に分布する大台カルデラおよび熊野カルデラの各種火砕流,環状岩脈群,房総半島に露出する同時代の凝灰岩のアパタイトの分析を実施した.その結果,室生火砕流堆積物のアパタイト化学組成は房総半島の凝灰岩と一致し,さらには大台カルデラの貫入岩のものとも調和的な組成であることが示された.このように,カルデラ深部~カルデラ周辺の火砕流堆積物~テフラの対比が,アパタイトを用いることによって可能であることが示された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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東北大学総合学術博物館紀要
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