研究課題/領域番号 |
25287133
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石塚 治 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 主任研究員 (90356444)
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研究分担者 |
谷 健一郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主任 (70359206)
針金 由美子 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (90569360)
森下 知晃 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80334746)
海野 進 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (30192511)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プレートの沈み込み / オフィオライト / 高精度年代測定 / 地球化学 |
研究概要 |
本年度はオフィオライト層序の地質調査及び採取試料の分析による、プレート沈み込み開始直後のマグマプロセスの検討を開始した。ギリシャ北部の2つのオフィオライト(PindosとVourinos)についての地質調査と岩石試料採取を6-7月にかけて4名で実施した。マントルかんらん岩、ガブロ、火山岩類と、本研究に必要な上部マントル、下部および上部地殻構成岩石についていずれも複数のセクションで観察、採取に成功した。調査後、岩石研磨薄片による記載、EPMAによる鉱物化学組成分析、XRF, ICP-MS, TIMSによる全岩化学組成、同位体組成分析を行っている。これにより特に火成岩類の層準および地域の違いによる大きな組成変化が明らかになりつつある。年代測定については、深成岩類についてジルコンの分離を完了し、まもなくU-Pb法による年代測定を実施予定である。火山岩類については、Ar/Ar法による年代決定に向けて、試料準備と原子炉での中性子照射を実施中である。マントルかんらん岩については、斜方輝石に富む岩石に着目して研究を進めており,周囲のかんらん岩とメルトとの反応および結晶化により,岩体の相対的下位から相対的上位にかけて観察される岩石変化を説明できる可能性について検討している。 一方西太平洋縁辺部でのプレート沈み込み開始プロセスとその精密年代決定に関する研究のため、フィリピン海南端部での有人潜水船しんかい6500による海底調査を実施した(研究代表者、分担者1名、連携研究者1名が参加)。パラオ海盆において海洋地殻構成岩石、また九州パラオ海嶺東縁部で変成岩類の採取に成功した。組成分析、年代決定、変成岩の変形様式について分析解析を実施中である。 伊豆小笠原弧におけるプレート沈み込み開始時のマントルプロセスおよびフィリピン海のテクトニクス史に関する検討結果について論文公表、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は初年度として、2件の野外調査を計画したが、2件とも天候や現地協力者に恵まれ、ほぼ予定通り実施することができた。調査内容、採取試料も概ね計画に沿った形で実行できた。分析については、研究所の耐震工事や、ArAr年代測定に使用する原子炉の震災以降の不規則な運転状況等の影響をうけて一部遅れが出ている。概ね正常化が期待される27年度以降分析を加速できるよう準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度以降も当初計画に沿った形でテチス海縁辺部に形成されたオフィオライトの調査を実施する。調査地域については、本研究目的と、他グループによる国際誌等でのデータ公表の状況を勘案しながら適切な地域を選定していく予定である。また現地の治安状況等により変更する場合も想定される。一方26年度も伊豆小笠原弧前弧域のオフィオライト層序に関する海底調査が採択されている。オフィオライトとして陸化していない、すなわち生成したときそのままの保存状態のよい初期島弧層序の研究と、陸上でアクセス、サンプリングが容易で露出状況も良好なオフィオライト層序の調査を合わせて行うことにより、プレート沈み込み開始プロセスの研究を加速させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
備品としてICP-MSを高感度化する装置の購入を予定していたが、ICP-MSが故障、26年度更新予定となったため購入を見合わせた。そのため次年度使用が発生した。 当初購入予定の装置を購入するかどうかは、更新後の装置の能力を確認してから検討したい。26年度は、分析装置用消耗品および旅費として充当し、使用する。
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