研究課題/領域番号 |
25287136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 正伸 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (60332475)
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研究分担者 |
入野 智久 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (70332476)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 南極 / 北極 / 気候変動 / 海流 / 水温 / 完新世 / 堆積物 |
研究概要 |
当初南極コアのLC/M分析を優先させる予定であったが,LC/MSの導入が秋になったため,北極海試料の鉱物分析を優先に分析を進めた.チュクチ海ARA02B-01GCコアのXRD分析とTEX86分析を行った.またチュクチ海とその周辺海域の表層堆積物のXRD分析とTEX86分析を行った.表層堆積物のXRD分析から,クローライト/イライト比がベーリング海峡通過流強度の指標として,石英/長石比がボーフォート循環強度の指標として,古海流復元に用いることができることが明らかになった.表層堆積物のTEX86分析から,チュクチ海北部の堆積物には南方で生産されたGDGTの寄与があることが示された.01GCコアのXRD分析から,クローライト/イライト比が後期および前期完新世にくらべて中期完新世で高く,ベーリング通過流が中期完新世で強かったことが示された.また,石英/長石比は完新世を通じて徐々に低下し,ボーフォート循環が徐々に弱くなってきたことが示された.01GCコアのTEX86は顕著な千年スケール変動を示し,クローライト/イライト比および石英/長石比にみられる千年スケール変動と同調する期間があることが示された.海流系の変動がTEX86変動を支配していることが示唆された.クローライト/イライト比からベーリング通過流が中期完新世で強かったことが示されたが,同時代に北大西洋で北大西洋海流が強化してことが報告されており,両者が連携していることが想像される.北半球高緯度域の大気テレコネクションを介して,アリューシャン低気圧とアイスランド低気圧がシーソー的に挙動することにより,ベーリング海峡通過流と北大西洋海流が同調して変化した可能性が考えられた.変動が同調することにより,北大西洋の塩分変動を小さくなり,完新世の大西洋子午面循環の安定化に寄与した可能性がある.これを論文としてとりまとめて,学術誌に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南極コアの分析は後回しになったが,北極コアの分析を前倒しで進めた.研究全体としては進捗は順調であると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
北極コアのTEX86分析終了後,ただちに南極コアのTEX86分析を開始する.チュクチ海とその周辺の鉱物分布に関する知見をとりまとめ,論文を作成する.ボーフォート循環強度変動に関する知見をとりまとめ論文を作成する.北極コアのTEX86分析結果をとりまとめ,論文を作成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
35,927円を残し,ほぼ全額使用した.残額は年度末の実験に必要な試薬の購入にあてる予定であったが,納品に時間がかかり年度内の手続きに間に合わなかった. 年度明けの消耗費支払いに充てられる予定である.
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