研究課題
北極海から採取したコア3本について全岩鉱物組成および粘土鉱物組成と有機分子組成を分析し,ベーリング海峡を経由して北極海に流れ込むベーリング海峡通過流と北極海内を時計回りに循環するボーフォート循環の過去9500年間の変動を数十年時間解像度で復元した.ベーリング海峡通過流は6000年前から4000年前にかけて強く,アリューシャン低気圧が強かったことを反映していると考えられた.他方,ボーフォート循環は9500年前から現在に向かい,徐々に弱くなってきたことが示された.夏季日射の減少によりカナダ海盆縁辺域の海氷密接度が増加し,海氷と陸地との摩擦が増加したため,ボーフォート循環が弱まったと考えられた.ボーフォート循環の千年スケール変動は太陽放射量変動と共通の周期性を示した.さらに,IP25およびGDGTを用いて北部チュクチ海の海氷量の完新世変動を明らかにし,その変動がベーリング海峡通過流とボーフォート循環の強弱変動と対応していたことが明らかになった.また,コア分析結果の解釈を行うために北極海表層堆積物の粒度分布と有機分子組成を明らかにし,国際誌に論文を公表した(Park et al., 2014, Marine Chemistry, 165, 10-24).ボーフォート循環に関する論文,ベーリング海峡通過流に関する論文,北部チュクチ海の海氷分布の完新世変動に関する論文をそれぞれ国際誌に投稿した.西部北極海表層堆積物の鉱物の分布に関する論文と北部チュクチ海のGDGT組成変動に関する論文も投稿可能な状況にある.
2: おおむね順調に進展している
北極域のデータはとりまとめが終了した.予定通りである.
データを一部追加し,成果を確固たるものにする.南極のデータをとりまとめ論文化し,投稿する.
論文の英文添削以来費として16746円を予定していたが,論文の執筆が遅れ,次年度で依頼する必要が生じたため
英文校正費として使用する予定
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Marine Chemistry
巻: 165 ページ: 10-24
org/10.1016/j.marchem.2014.07.001