研究課題
基盤研究(B)
南・北太平洋中緯度域に分布する赤色粘土に含まれる磁性鉱物の起源を明らかにするため、IODP Site U1365を含む数地点の堆積物コアについて、磁気ヒステリシスの一種であるfirst-order reversal curve (FORC) 測定、等温残留磁化獲得曲線の成分解析等の岩石磁気測定を行うとともに、代表的試料について透過電子顕微鏡による磁性鉱物観察を行った。その結果、赤色粘土についても生物源マグネタイトが主要な磁性鉱物であることを確認した。従来、走磁性バクテリアは堆積物コラム中の酸化・還元境界付近の化学勾配の大きい場所に生息すると考えられていたが、溶存酸素が豊富で酸化・還元境界が存在しない赤色粘土でも生物源マグネタイトが卓越していることは、従来の考え方に再考を迫る結果である。堆積残留磁化固着深度の検討や、生物源磁性鉱物の割合の変動が古地磁気強度記録に与える影響を評価するための堆積物試料を採取する目的で、調査船「みらい」MR14-02航海に乗船し、ニューギニア沖の西カロリン海盆及びオントン・ジャワ海台より計4本(それぞれ約15m長)の堆積物コア試料を採取した。コア観察、磁化率、色反射率等の測定等を行うとともに、コアより古地磁気測定用試料約2500個及び10Be測定用の試料を採取した。IODP第342次航海により北大西洋ニューファンドランド沖のSite U1403, U1408から採取された掘削コアについて、古地磁気測定を行った。古地磁気層序より、Site U1403では深度約28~160 mの区間が35.7~49.3 Maに相当し、Site U1408では26~155mの区間が38.1~43.4 Maに相当すると推定された。今後、相対古地磁気強度と陸源・生物源マグネタイトの量比の関係を研究する上での基礎データが得られた。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に述べたように、当初の研究計画どおりに進捗している。
調査船「みらい」MR14-02航海で得られたコア試料の古地磁気・岩石磁気測定及び10Be測定を、計画に従って着実に実施する。さらなる研究推進を図るため、当初の研究計画に加え、堆積物の酸化・還元境界と生物源マグネタイト量の関係を解明するための試料として、平成26年度に日本海の表層堆積物試料を採取する。
さらなる研究推進を図るため、当初計画に加え、新たに平成26年度に、堆積物の酸化・還元境界と生物源マグネタイト量の関係を解明するため、日本海の表層堆積物試料を採取し、岩石磁気測定を実施することとした。そのために必要となる旅費・分析費とするため、助成金の一部を平成26年度以降に使用することとした。当初請求した研究費は、当初計画に従って使用し、「次年度使用額」は新たに行う上記の研究に使用する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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