研究課題/領域番号 |
25287139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 順司 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60378536)
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研究分担者 |
石橋 秀巳 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (70456854)
鍵 裕之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70233666)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ラマン分光分析 / 二酸化炭素 / 波数分解能 |
研究概要 |
平成25年度は,高い波数分解能を持つ顕微ラマン分光分析システムの開発に専念した.本課題では,まず,市販されている比較的安価なレーザー光発振装置や分光器,検出器を導入し,それらを既存の顕微鏡に取り付けることにより,一体型装置に匹敵する性能を有する顕微ラマン分光分析装置を作成した.そして,検出器への焦点距離を調整することにより,取得スペクトルの波数分解能を大幅に精細化させた.この効用を定量的に説明する.一般的な分光分析装置によって取得できるスペクトル幅はおよそ1000 cm-1であるが,測定対象である二酸化炭素のスペクトル幅は約160cm-1であるため取得スペクトル領域に余裕がある.そこで本課題では分光装置内の焦点距離を180 cmまで延ばすことにより,取得スペクトル幅を187 cm-1まで狭め,従来より5倍高い波数分解能(0.22cm-1)を持つ装置に仕上げる.二酸化炭素のピーク幅は3cm-1程度であるため,この高い波数分解能はピーク位置誤差の低減に繋がり,流体圧力の決定精度を大幅に高めることができる.つまり,当地質圧力計の精度を飛躍的に高めることができる. 当該分析装置は予定通り完成させることができており,性能も想定通りである.よって,次年度以降に予定している天然マントル捕獲岩に内在する流体包有物の流体密度の高精度測定を開始する環境が整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題で平成25年度に予定していた研究作業は,高い波数分解能を有する顕微ラマン分光分析装置の作成である.高価な部品を組み合わせる必要があったため,その調達に時間が掛かったが,年度内に組み上げることに成功した.性能の確認も行った.天然由来の鉱物に内在する二酸化炭素流体包有物を用い,その流体密度の測定精度を確認したところ,従来装置による測定精度より5倍程度良い値が得られることが確認できた.この成果については既に原著論文として投稿できる段階に達しており,当初の計画通りに進行できていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度はまず,天然マントル捕獲岩の採取を行う.本課題の地質圧力計は流体包有物の圧力を圧力指標に用いるが,そもそも流体包有物の内圧が外圧と平衡であったのか否か検証する必要がある.検証実験の内容は後述するが,その実験過程で天然の流体包有物が必要になるため,流体包有物が多いと言われる愛媛県松山市と島根県隠岐の島町の捕獲岩を採取する計画を立てている.これらはリソスフェアの諸構造を探るための試料としても用いる. 次に,流体包有物の流体保持能力の検証を進める.捕獲岩が地表付近まで運び上げられた時,流体包有物は周囲と比べて過剰な圧力を有しているため,流体が拡散過程やクラックを通して流出する可能性が考えられる.そこで申請者らは捕獲岩噴出状況の再現実験を8日間行い,その流体保持能力を確認した(Yamamoto et al., 2011 Eur. J. Mineral.).しかし,捕獲岩の冷却期間を考慮すると数十日間の再現実験が必要であるため,雰囲気調整可能な管状加熱炉(代表者現有機器)を用いて検証を試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該課題の研究作業の中で,次年度にまたがる研究計画を記しているもの(密度標準流体包有物の作成)があるため,その作業を完遂させるための経費として次年度に使用できる額を確保した. 次年度にまたがる研究作業(密度標準流体包有物の作成)のために使用する.
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