研究課題/領域番号 |
25287140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橘 省吾 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50361564)
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研究分担者 |
三宅 亮 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324609)
坂本 直哉 北海道大学, 創成研究機構, 助教 (30466429)
川野 潤 北海道大学, 創成研究機構, 助教 (40378550)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 凝縮 / ダスト / 原始惑星系円盤 / フォルステライト / 速度論 / 赤外線天文学 |
研究概要 |
ダストは恒星の誕生から死,惑星系形成,銀河化学進化と様々な局面で重要な役割を果たす.赤外線天文学の進展により誕生した宇宙鉱物学は現状では「鉱物から鉱物形成条件 (地質プロセス) を読み解く」までには至らず,ダスト形成条件を観測から求めることができない.申請者らのこれまでの実験・分光理論研究を基に,(1) 主要鉱物フォルステライト気相成長速度および異方性を原始惑星系円盤条件 (温度,圧力,ガス組成) を制御した実験で求め,(2) 気相成長でつくられる異方的形状をもつフォルステライトの赤外スペクトルから,赤外観測からフォルステライトダスト形成条件を読み解くための指標をつくり,(3) 観測データから原始惑星系円盤でのフォルステライト気相成長条件を求める.鉱物学を地球,太陽系から「宇宙」へと広げるための一歩とする. 平成26年度は現有の真空赤外炉を改良して,制御された原始惑星系条件での結晶質フォルステライトの白金メッシュ基板への凝縮実験に世界で初めて成功した(水素圧5.6Pa,H2O/H2比=0.015,基板温度1160, 1275K).凝縮速度を決定するために重要な基礎パラメータである凝縮係数を 0.02-0.1 と決定した.また,凝縮フォルステライトの赤外分光測定にも成功した.これらの結果は,台湾でおこなわれた宇宙でのダスト形成に関する国際会議での招待講演の中で発表し,会議のプロシーディングで報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験条件を制御し,結晶質フォルステライトの凝縮実験をおこない,凝縮に関わる速度パラメータを決定するという初年度の目的は達成された.
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今後の研究の推進方策 |
条件を系統的に変化させた実験をおこない凝縮係数を決定する.ここまでの結果を論文にまとめる.凝縮量を増加させる実験をおこない,凝縮異方性を決定する.異方性が決定されれば,これまでに開発した手法を用いて,凝縮形状をもつフォルステライトダストの赤外スペクトルの特徴の決定が可能となる.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた装置改良に関わる予算を抑えることができたため. 今年度,分析装置の消耗品,分析装置利用費として主に使用する.
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