研究課題
ダストは恒星の誕生から死,惑星系形成,銀河化学進化と様々な局面で重要な役割を果たす.赤外線天文学の進展により誕生した宇宙鉱物学は現状では「鉱物から鉱物形成条件 (地質プロセス) を読み解く」までには至らず,ダスト形成条件を観測から求めることができない.申請者らのこれまでの実験・分光理論研究を基に,(1) 主要鉱物フォルステライト気相成長速度および異方性を原始惑星系円盤条件 (温度,圧力,ガス組成) を制御した実験で求め,(2) 気相成長でつくられる異方的形状をもつフォルステライトの赤外スペクトルから,赤外観測からフォルステライトダスト形成条件を読み解くための指標をつくり,(3) 観測データから原始惑星系円盤でのフォルステライト気相成長条件を求める.鉱物学を地球,太陽系から「宇宙」へと広げるための一歩とする.平成26年度は原始惑星系円盤環境下で,白金メッシュ基盤上へのフォルステライト凝縮実験を継続し,1273K, 全圧5 Pa, H2O/H2=0.016 の条件でフォルステライトの凝縮係数が0.01程度であると,より強い制約を与えることができた.また,同様の温度・水素圧力条件での蒸発実験をおこない,蒸発係数が凝縮係数と同程度であることを明らかにした他,蒸発の異方性を求める実験も開始した.さらに,フォルステライト表面での異方的蒸発プロセス素過程解明のための第一原理電子状態計算を開始した.
2: おおむね順調に進展している
凝縮実験,蒸発実験ともに順調に進んでいる.
凝縮実験,蒸発実験の結果を平成27年度に論文としてまとめる予定である.また,フォルステライト表面からの蒸発素過程を解明する第一原理計算を継続する.
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