研究実績の概要 |
同じマグマ組成による一連の噴火の中で、異なる噴火様式を持つ、霧島火山新燃岳2011年噴火噴出物について、代表的な試料を選定し、電界放出型走査電子顕微鏡による石基組織の高分解能局所解析を行った。これまでの研究により、これらの噴火様式の違いは、サブミクロンスケールでの石基鉱物の結晶サイズ分布に記録されていることが明らかとなっている(Mujin and Nakamura, 2014, Geology)が、さらに噴火様式の分岐点について、以下のことが明らかとなった。①サブプリニー式噴火とブルカノ式噴火の分岐は、輝石ナノライトの晶出よりも後で起こった。②ブルカノ爆発は、斜長石ナノライトの晶出よりも後に起こった。次に、TEMによる高倍率観察をさらに進めたところ、石質岩片・溶岩ブロックの中に、直径1ナノメートル程度のFeTi 酸化物組成固体(結晶であるか非晶質であるかは未同定)を晶出しているものと、そうでないものの二種類があることがわかった。このことから、溶岩の形成過程に、③火口まで気泡流として上昇してきたマグマが固結するプロセス(通常の溶岩)と、一度破砕したマグマ(軽石)が火口内で再溶結するプロセス(火砕成溶岩)の二種類があったことがわかった。今後は、これらの結晶化条件(圧力・含水量,温度,酸素分圧)を実験によって明らかにして行くことで、噴火様式の各分岐点を制約することができると考えられる。これらの成果は、地球惑星科学連合大会において発表したほか、American Mineralogist誌に投稿し、現在、査読後の修正を行っている。
|