研究課題
地球マントルの物理的性質(地震波、電気伝導度、粘性など)には、マントル岩石を構成する鉱物の種類だけでなく、その配列の仕方(格子選択配向)や、粒子サイズ、応力環境といった要素が大きく影響している。本研究は、角度分散回折実験によって得られた多結晶体の二次元回折パターンから、選択配向性や応力環境といった情報を抽出する手法の開発を目指した。さらに、その方法の妥当性を検証するため、下部マントルや核を模擬した多相系の高温高圧実験を行い、先端的な微細加工・観察技術を駆使して回収試料の微細組織を評価し、下部マントルを構成する物質の変形や応力に対する組織変化過程を明らかにすることが本研究の目的である。本年次では、主に二次元全パターンフィッティング解析のアルゴリズムの改良を行った。Cubed sphere gridと呼ばれる立体角分割モデルをアルゴリズムに取り入れることによって、従来の10倍以上の高速化とメモリ使用量の低減に成功し、30分程度で十分な精度の格子選択配向性を抽出することが可能になった。開発したアルゴリズムを検証するため、昨年度に引き続き、ダイヤモンドアンビルセルを用いた、1軸圧縮実験および放射光X線回折実験を行った。さらに熱重量・示差熱装置を導入し、実験出発物質に用いる含水鉱物試料の、含水量や脱水温度の評価を行った。また開発した解析手法を電子線回折パターンにも適用できるようにソフトウェアの改良を行い、マルチスケールの多結晶体解析を可能にした。さらにソフトウェアに関する使用マニュアル(日本語/英語)の整備を進めた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Science Advances
巻: 2 ページ: 1-6
10.1126/sciadv.1500802
Physics of the Earth and Planetary Interiors
巻: 243 ページ: 1-21
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http://pmsl.planet.sci.kobe-u.ac.jp/~seto