研究課題
基盤研究(B)
1.Setaram社製の高温熱量計用制御データ処理システムを購入し、既設のCalvet型高温微少熱量計に取り付け、熱量較正などの準備実験を行った。この熱量計を用いて、Fe2SiO4オリビン、スピネル及びFeSiO3高圧相の熱量測定を、二価鉄を酸化させるair-bubbling法を使って行い、それらの測定データからFeSiO3組成の高圧相平衡関係の熱力学計算を行った。2.高硬度超硬合金アンビルを既設の川井式マルチアンビル装置に組み込み、約35GPaまでを室温で発生させる高圧実験を行い、その後同じ圧力範囲で1600℃までの高温を発生させる技術開発を行った。3.Fe2SiO4スピネルが約17GPaでFeO、SiO2スティショバイト、金属鉄に分解する高圧相平衡関係を、高温高圧実験によって精密に決定した。4.FeCr2O4のポストスピネル転移を高温高圧実験によって詳細に調べ、FeCr2O4スピネルが約15GPaで変型ludwigite型Fe2Cr2O5とコランダム型Cr2O3に分解した後、約20GPaで1200℃以下ではカルシウムフェライト型FeCr2O4に、1200℃以上ではカルシウムタイタネイト型FeCr2O4に転移することを明らかにした。5.高硬度超硬合金アンビルを使って、MgSiO3ペロブスカイトを約25GPa、1600℃で合成し、Calvet型高温微少熱量計によってMgSiO3ペロブスカイトの落下溶解熱を精密に測定した。上記のMgSiO3ペロブスカイトのエンタルピーと、既に測定されたMg2SiO4スピネル、MgOのエンタルピー、これらの相の最新の物性データと組合せて、約23GPaでMg2SiO4スピネルがMgSiO3ペロブスカイトとMgOに分解する相境界線を精密に計算し、相境界線の負勾配を決定した。
2: おおむね順調に進展している
今回購入した高温熱量計制御データ処理システムを取り付けた高温微少熱量計が予定通りに機能し、高精度の熱量測定を行えるようになった。また、高硬度超硬合金アンビルによる高圧高温発生実験が順調に進んだため、それを利用した高圧相平衡実験や試料合成が支障なく行われた。
平成25年度の成果に基づいて、マントルやスラブを構成する岩石に対象を拡大し、それらの高圧相平衡関係を精密に決定する。またMgCr2O4のポストスピネル転移、FeTiO3、ZnTiO3のポストぺロブスカイト転移などを詳細に高圧実験で調べると共に、それら高圧相の熱力学的性質を測定する。さらにLaCrO3ヒーターを用いて、高圧下で2200℃までを発生させる技術を確立する。
アンビル等の消耗品に使用した金額との差として、少額が残った。次年度の物品費と合わせて、消耗品の購入に使用する。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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