研究課題
1.平成25年度に購入した熱量計制御・データ処理システムを取り付けたカルベ型高温微少熱量計を用いて、二価鉄、二価マンガンを含むケイ酸塩の熱量測定を行い、Fe2SiO4のオリビンースピネル転移とスピネル分解反応、MnSiO3のパイロキシンーガーネット転移などの転移エンタルピーをAir-bubbling法により測定し、熱力学計算によってそれらの相平衡境界線を決定した。2.LaCrO3ヒーターを用いて、2200℃、28GPaまでのパイロライト、ハルツバージャイト、中央海嶺玄武岩の高圧相平衡実験を行い、鉱物量比を決定して密度を計算し、スラブの沈み込みとプリュームの上昇に関して、ポストスピネル転移を中心とする660㎞不連続面付近でのマントル鉱物の相変化が及ぼす効果を定量的に評価した。3.MgCr2O4のポストスピネル転移を解明するため、28GPa、1600℃までの高圧相平衡実験を行った結果、MgCr2O4スピネルは最初に15GPa付近で、変型ludwigite型Mg2Cr2O5とCr2O3に分解し、さらに20GPa付近でカルシウムチタネイト型MgCr2O4に転移することが明らかになった。4.ZnTiO3イルメナイトの28GPa、1200℃までの高圧相平衡実験を行い、約12GPaでイルメナイト相がペロブスカイト相に転移し、さらに約20GPaでZnOとTiO2に分解すること、ポストペロブスカイト型ZnTiO3が安定ではないことを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
MgCr2O4及びFeCr2O4というクロムスピネル鉱物の高圧相転移を詳細に解明し、スピネル相がカルシウムフェライト型(またはカルシウムチタネイト型)に直接転移するという従来の推定に反して、最初に二相に分解することを発見したことは特に重要であり、最近提唱されているクロムスピネル鉱物のマントル深部循環説に対して、循環深度を制約する強い条件になる。また、パイロライト、ハルツバージャイト、中央海嶺玄武岩の高圧相平衡実験として、従来より広い温度圧力範囲で、マルチセル法を用いて相平衡実験を行ったことにより、精密な相関係が決定され、それに基づく密度変化の詳細な考察が可能になった。
ポストスピネル転移を起こす他のAB2O4組成の化合物に研究対象を拡大し、それらの高圧下の挙動を解明する。またFeTiO3などのイルメナイトーペロブスカイト転移を起こす化合物のポストペロブスカイト転移を明らかにして行く。さらに、それら高圧相の熱力学的性質を高温熱量計で測定する。
比較的金額の大きいアンビル等の消耗品に使用した結果、少額が残った。
次年度の物品費と合わせて、消耗品の購入に充てる。
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