研究課題/領域番号 |
25287145
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高圧実験 / 熱測定 / マントル / ペロブスカイト / スピネル / 相平衡 |
研究実績の概要 |
1.スピネル型MgCr2O4の高圧分解相であるMg2Cr2O5高圧相の単結晶構造解析を行い、その変型ludwigite型構造の精密決定を行った。また、常圧に回収したこの相が持つ超格子構造を明らかにした。 2.マントル中でのMgCr2O4スピネルの安定性を考察するため、MgCr2O4-Mg2SiO4系の1:1組成に関して、高圧相平衡関係を27GPa、1600℃まで調べた。その結果、約14GPa以下ではスピネル型MgCr2O4とMg2SiO4オリビンが安定であるが、それ以上ではMg2Cr2O5相、ガーネット相、Mg14Si5O24高圧相が安定であり、さらに約20GPa以上ではカルシウムタイタネイト型MgCr2O4とMg2SiO4リングッダイトが安定になることが明らかになった。 3.パイロライトの高圧相平衡関係について、前年度より低圧側である遷移層の圧力領域で、2200℃までの高温高圧実験を行った。その結果から、(Mg,Fe)2SiO4リングッダイトがガーネットと(Mg,Fe)Oに分解する温度圧力条件を決定した。それらの結果を用い、深さ400~750㎞付近におけるパイロライトの安定な鉱物組合せと鉱物量比を決定し、密度を計算した。 4.a-PbO2型TiO2高圧相の低温熱容量測定を行い、標準エントロピーを決定した。 5.FeTiO3の35GPa、1600℃までの高圧実験を行い、ペロブスカイト型FeTiO3が、約28GPaで比較的低温ではカルシウムタイタネイト型Fe2TiO4と斜方晶(O1)型TiO2に分解するが、比較的高温ではカルシウムタイタネイト型Fe2TiO4と新規FeTi2O5相に分解することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Mg2Cr2O5変型ludwigite型相の単結晶構造解析、MgCr2O4-Mg2SiO4の高圧相転移、パイロライトの遷移層圧力条件で2200℃までの高圧相関係の決定など、当初計画したことを達成できただけでなく、ペロブスカイト型FeTiO3の高圧相転移についても新たな進展があったため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの予備的実験で明らかになった、MgCr2O4-Mg2SiO4系の高圧相関係をさらに詳細に解明することや、スピネル型AB2O4、A2BO4化合物の高圧相転移の探索、FeTiO3の高圧相転移で見出された新規FeTi2O5相の構造研究などを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
比較的高額のアンビルなどの消耗品を購入した結果、少額が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の物品費と合わせ、消耗品の支出に充てる。
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