研究課題
本研究では、等位相面がらせん構造を持つ光渦をプラズマ分光に導入し、従来のドップラー分光法では原理的に測定できなかったビームを横切る方向のガス流に感度を持つ光渦分光法を開発することを目的としている。平成28年度は,光渦を用いた吸収分光および飽和吸収分光によって観測されるスペクトルを理論的に解析するとともに、光渦吸収分光法および光渦飽和吸収分光法を既知のガス流速をもつプラズマに適用し、スペクトルに現れる横ドップラーシフトを理論値と比較した。光渦をプローブ光、平面波をポンプ光に用いた光渦飽和吸収分光では、通常はドップラー効果の影響を受けないLamb dipが横ドップラーシフトの影響で周波数シフトすることが理論解析により明らかになった。光渦飽和吸収分光法を横方向流れ測定に用いる利点として、ドップラー広がりの10分の1以下と線幅の狭いLamb dipを、横ドップラーシフトの検出に用いることで高精度な測定が可能になることがあげられる。一方、欠点としては、Lamb dipの周波数シフトはドップラースペクトルの横ドップラーシフトの半分程度しか無いことがあげられる。これらの理論解析に基づき、光渦吸収分光法および光渦飽和吸収分光法によって観測される横ドップラーシフトを定量的に評価した。通常の飽和吸収分光法によりガス流速を校正したテストプラズマを用い、ガス流に対して垂直な方向から光渦吸収分光および光渦飽和吸収分光を行い、横ドップラーシフトを評価した。その結果、この二つの測定とも位相特異点からの距離に反比例する横ドップラーシフトの分布がみられ、定性的には理論と一致した。一方、定量的には50%程度の誤差が観測される場合もあった。光渦分光法が横方向流れに感度があることは示されたが、実用化に向けて、さらなる測定精度の向上が必要であることが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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