研究課題/領域番号 |
25288005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00188674)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | タンパク質反応 / 分子間相互作用 / 光反応 / 拡散 / 熱力学 |
研究実績の概要 |
タンパク質間相互作用は、生体分子の機能メカニズムを明らかにするために、非常に重要であるがそのダイナミクスの検出は非常に困難であった。ここでは、これまで申請者が開発してきた、独創的な過渡回折格子(TG )測定法を、もっと一般的な手法へと拡張することを目指した。そのために、ストップドフローシステムとTG 測定を組み合わせる試みを行った。TG 法をストップドフローシステムと組み合わせて反応中間体の拡散係数を測定する際に最も問題となる液体の乱流を回避するため、溶液混合の混合口の形状の工夫を行った。これによって、乱流の効果を軽減することができた。次に、タンパク質に応用するうえで、使用する溶液量を格段に減らすため、サンプルセルを小型化した。これによって10μLでの測定が可能となった。また、高速混合のために、バルブシステムの改良を行った。 一方で、分子間相互作用を検出するために、通常のセルで光励起を使ってフォトトロピンなどの光センサーの分子間相互作用を調べた。圧力によってその反応が劇的に変化することを見出し、その原因を探った。時間分解で熱力学量を検出することによって、反応途中での揺らぎが反応性をコントロールしていることを結論付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ストップドフローシステムとTG法を組み合わせ、時間分解能と必要な液量の改良を行った。また、幾つかの光センサータンパク質において、タンパク質間相互作用を時間分解で観測することに成功した。この成果と機能との関係も明らかにしつつある。
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今後の研究の推進方策 |
さらなる時間分解能向上と感度向上を達成できれば、より詳細で有用な知見が得られるため、再現実験も含めて、追加で研究を行う。また、本システムを用いて、重要なタンパク質反応への応用を更に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
システムで重要なバルブの改良によって、当初計画のストップドフローシステム作成はかなり達成できたが、さらなる時間分解能向上とサンプル量の少量化、そして感度向上を達成できれば、より詳細で有用な知見が得られるため、再現実験も含めて、追加で研究を行うため。また、得られた結果を関連する研究者と議論することでより詳細な知見を得る。
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次年度使用額の使用計画 |
システム改良のための装置類や消耗品の購入と、得られた成果を発表するための学会参加費用、論文投稿費用などに用いる。
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