ラマン分光による生細胞の絶対定量的分子イメージングのための基礎研究として、基本的分子の絶対ラマン散乱断面積の決定を試みた。量子化学計算により、水素分子の分極率テンソルを計算した。計算値は既報の分極率の異方性およびその結合距離に関する一次および二次の微係数を良く再現した。この理論値を用いて、水素分子の回転ラマン絶対散乱断面積を計算し、ラマン散乱強度決定のための一次標準とした。水素ガスおよび気体ベンゼンのラマン散乱強度を同一条件下で測定し、気体ベンゼンの絶対ラマン散乱断面積を決定した。得られた気体ベンゼンの絶対ラマン散乱断面積を誘電場補正により液体の値の換算すると、文献値と誤差範囲内で一致した。
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