研究概要 |
本年度当初の交付申請書記載の研究計画に沿い、あるいは新たに、以下の結果を得た。① 鉄触媒存在下でフリルグリニャール試薬を、α,β,γ,δ-不飽和エステルに作用させ cis -アルケニル置換フランを合成し、これからフラノシクロへプテノンを得た。/② 鉄塩触媒存在下でα,β,γ,δ-不飽和ホスフィンオキシドへのアリールグリニャール試薬のδ-選択的付加を行い、cis-アリルホスフィンオキシドを得た。この付加体にWittig反応を行い、立体選択的なジエン合成を行った。/③ ②と同様に鉄塩触媒存在下でα,β,γ,δ-不飽和ホスホネートへのアリールグリニャール試薬のδ-付加を行い、cis-アリルホスホネートを得た。さらに同様に立体選択的なジエン合成を行えた。また、BINOLやTADDOL由来の光学活性α,β,γ,δ-不飽和ホスホネートへのジアステレオ選択的付加反応も検討し、最高85:15程度の選択性で付加体を得た。/④ 鉄塩触媒存在下で、γ-位にアルコキシやハロゲン基を有するα,β,γ,δ-不飽和エステルやアミドにアリールグリニャール試薬を作用させ、これらの官能基を損なわずcis -アルケン付加体を得た。/⑤ 既に鉄触媒存在下でアリールグリニャール試薬のエンイノエートへのδ-付加を報告したが、この反応によりアルカロイド・メロシンの全合成の鍵となる4置換アレンを合成した。/⑥ 既に報告した鉄触媒によるメチルグリニャール試薬の官能性ジエンモノエポキシドへの置換反応を利用し、イオノホア・(+)-ジンコホリンの全合成に必要な主要セグメントを光学活性体として合成できた。/⑦ 鉄塩触媒共存下でニトロ化合物にグリニャール試薬を作用させ、還元的カップリング反応によりグリニャール試薬を取り込んだアミンが得られた。
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