研究課題
1.光線力学療法用水溶性オリゴ糖連結クロリンの合成とPDT効果:高性能なPDT用医療用光増感剤の開発として、静脈投与および代謝向上に必要な水溶性の付与などをめざして、糖鎖修飾フッ化クロリン誘導体の開発を行った。具体的には、マルトトリオースを4分子修飾したフッ素化クロリン誘導体(Mal3-chlorin) を合成し、その光化学的性質および光細胞毒性について明らかにした。HeLa細胞を用いたin vitro実験の結果IC50は1.3 μMであった。Mal3-chlorinは、高い水溶性を示し、有機溶媒を一切使わない生理条件下においてPDT 光増感剤に適した光吸収特性を示した。さらに種々の実験により、Mal3-chlorinはグルコース連結フッ化クロリン(G-chlorin)に匹敵する高い一重項酸素生成効率と光細胞毒性を示すことを明らかとし、臨床応用が期待される。2.糖鎖複合フラーレン医療用光増感剤の分子機能化: Glc-TEG(テトラエチレングリコール)ユニットを有するC60誘導体であるGlc-TEG-C60の合成を行った。Glc-TEG-C60および (Glc-TEG)2-C60について、HeLa細胞を用いたin vitro細胞実験を行った。Glc-TEG-C60および (Glc-TEG)2-C60の50%阻害濃度 (IC50) の値は、それぞれ8.5 μMおよび3.0 μMであり、 (Glc-TEG)2-C60が特に高いPDT活性を示した。これらは優れた生体適合性とPDT活性を示し、次世代の水溶性光増感剤として期待される。さらに、蛍光標識として7-nitro-2,1,3-benzoxadiazole (NBD) を導入したGlc-C60-NBDの合成を行った。すなわち、蛍光ユニットを有する糖鎖修飾セラノティクスC60光増感剤の開発に繋がる合成経路を見いだした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Org. Biomol. Chem.
巻: 14 ページ: 3608-3613
10.1039/c6ob00276e
Mol Cancer Ther
巻: 14 ページ: 452-460
10.1158/1535-7163.MCT-14-0348
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 1-13
10.1038/srep10657
Molecules
巻: 20 ページ: 10192-10204
10.3390/molecules200610192.
Chem. Commun
巻: 51 ページ: 16581-16720
10.1039/C5CC07353G