研究課題
課題1) 共昇華法を用いて、コロネンとTCNQ誘導体の2:1中性電荷移動(CT)錯体の開発に成功した(Cryst. Growth Des. 15, 5513 (2015))。有機溶媒を用いた従来の合成法(拡散法、自然蒸発法)では得られない組成や分子配列を有するCT錯体を得る手法として有用であることを見出した。DA交互積層構造を有するコロネン中性CT錯体について、結晶構造(分子配列、分子間相互作用)と分子回転挙動の相関関係を抽出した(Cryst. Growth Des. 15, 1389 (2015))。また、自然蒸発法や電解酸化法を用いて、ベンゾ[ghi]ペリレンの中性ならびにイオン性CT錯体の良質結晶の作成に成功した。低温結晶構造解析から、電荷移動量とJahn-Teller効果の相関に関する知見を得た。課題2) -1価四面体型陰イオンを用いて、6種類の新規コロネン陽イオン塩の開発に成功した。いずれの塩においてもコロネン陽イオンは積層構造を形成しており、1:1塩の場合には+1価コロネンが、5:2塩の場合には約+1価コロネンと約0価コロネンが交互に積層していることを見出した。現在までに、1種類の1:1塩と1種類の5:2塩について常圧電気抵抗測定を行っているが、いずれも半導体的で、室温伝導度は0.4ならびに2.8 S cm-1、活性化エネルギーは0.11ならびに0.14 eVと見積もられた。さらに、対陰イオン由来ではあるが、1種類の1:1塩において反強磁性転移に起因する磁化率の急減を約6K以下で確認した。また、上記のように、ベンゾ[ghi]ペリレンの陽イオン塩の開発に成功した。特に、同じ対陰イオンを用いたコロネン塩と同形構造を有する塩については、電子物性測定ならびにDFTバンド計算を駆使して、分子対称性が諸物性(電子物性、回転挙動)に与える影響について検討を行っている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 4件、 査読あり 12件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 16件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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