フッ素原子の特異性によって含フッ素化合物は医薬品や農薬,材料として幅広く応用されている。近年では,芳香族化合物に対するトリフルオロメチル化が盛んに研究されているが,その一方で,ジフルオロメチレン基を導入する手法は限られている。私たちはこれまでに,脱炭酸反応を用いた芳香族ジフルオロメチル化合物の合成を報告している。今回,ジフルオロメチレン基の導入法として,脱炭酸反応を鍵反応とする炭素―炭素結合形成などを新たに開発した。すなわち,ジフルオロメチレン基を有する芳香族カルボン酸塩を用い,脱炭酸反応によって求核的,もしくはラジカル的に多様なジフルオロメチレン化合物に誘導した。
|