研究課題/領域番号 |
25288048
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40273586)
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研究分担者 |
藤内 謙光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境調和型合成 / ファインケミカルズ / 結晶 / 有機半導体材料 |
研究実績の概要 |
本研究の二年目にあたる平成26年度は、一年目に引き続きスルホニル基を始めとする含硫黄官能基を有する芳香族基質の直接誘導体化について検討を行った。適切に設計したロジウム触媒を用いることで、スルフィニル基やスルホニル基、スルフィド基を配向基とする炭素-水素結合活性化が効率よく進行し、アルケンやアルキン等の不飽和化合物とのカップリングがうまく進行することを見出した。これらの反応により、多様な含硫黄置換基および縮合芳香族骨格を有するπ共役分子を合成した。得られた研究成果は、速報一報およびフルペーパー二報にまとめ、国際誌に掲載された。今後、合成した含硫黄官能基を有する縮合芳香族化合物を用いて、有機塩結晶を調製する予定である。 さらにフリーのアミノ基を配向基として利用した芳香族アミン類の直接修飾法の開発にも成功したので、これらにより様々な構造を有する芳香族アミンを調製し、アントラセン-2-スルホン酸類と組み合わせて得られる有機塩結晶の構造解析を行った。その結果、超分子構造体中ではアミンの持つ芳香環がきれいに配列することがわかった。特にピリジル基を有するアミンを含む有機塩結晶では、ピリジル基がフリーな状態で配列されるため興味深い。今後、この現象の一般性を調べる目的で、様々なアリール基およびヘテロアリール基を有するアミンを用いて有機塩結晶を調製し、構造解析を行う予定である。さらに得られた有機塩結晶の電子および電気化学的あるいは光学特性を調べ、配列した芳香族部位に由来した特徴的な物性の有無を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な構造を有する芳香族スルホン酸およびアミンを合成・入手しており、有機塩結晶調製に用いる準備は順調に進んでいる。予備的に調製した有機塩結晶の超分子構造解析も行い、興味深い特徴を見出している。
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今後の研究の推進方策 |
このまま、芳香族スルホン酸およびその類縁体、あるいは芳香族アミン類の直接的修飾法開発を進め、より幅広い有機塩ビルディングブロックを得る。その後、これらを用いて有機塩結晶を調製し、分子構造と超分子構造に関する相関を明らかにする。またこれらの有機塩結晶の物性も調べ、構造ー物性相関に関する知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年10月、当初の予想に反し、ピリジル基含有アミンから得た有機塩結晶の構造解析を行った結果、超分子構造内でピリジル基がフリーな状態で表面に露出し、キャリア輸送能等の機能を高めるための修飾に利用できることがわかった。この本質を見極め、高機能化に利用するためにも、種々ピリジル基含有アミンを合成し、よりフリーなピリジル基を含む有機塩結晶を得る必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年3月までに、ピリジル基含有アミンの合成を行い、その後平成27年8月までに有機塩結晶調製および物性測定を実施し、平成28年3月までに学会発表および研究成果とりまとめを行うこととした。そのため、「物品費」として、一般試薬の費用を300,000円およびガラス器具の費用を509,393円、また「旅費」として、成果発表のために50,000円が平成27年度に必要となった。
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