これまでの有機合成反応は、有機溶媒中で反応を行うのが常であった。一方、自然界では生体成分である水を溶媒として、様々な有用有機化合物(天然物)を作り出している。今回、我々はこの水溶媒に着目し、生体内で行われている化学反応をフラスコ内に取り出すことに成功した。標的とした天然物は、細菌由来のアルカロイド群である。種々検討の結果、数多くのアルカロイド類を網羅的かつ短工程で化学合成するに至った。得られた天然物ライブラリーの幅広い生物活性試験を行い、抗がん剤および動脈硬化治療薬となりうるシード化合物を見いだすことに成功した。
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