研究概要 |
京大化研の山子 茂教授の提案したOrganotellurium-mediated radical polymerization (TERP) の乳化重合系への適応をメタクリル酸ジメチルアミンのエチル(DM)ユニットを20~40個連結し,末端にbutyl telluride基を有するポリカチオン系試薬を用いて検討し,陽電荷を有する非常に安定な高分子エマルションを合成した。DMユニット数は重合速度,生成粒子径に大きな影響を与え,その数が10の場合では,重合は数時間で完結し,40 nm以下のナノ粒子が作製することを明らかにし,論文報告した (Polymer Chemistry, 2014, 5 , 2784-2792)。 京大化研の後藤淳准教授らが開発したReversible Chain Transfer Catalyzed Polymerization (RTCP)をスチレンの乳化重合系に初めて適応し,その有効性を認め,学会発表した(第62回高分子学会年会、京都国際会議場)。 それぞれの相が半球状に相分離した,真球状のヤヌス構造を有するPMMA/PS複合粒子をアセトン/水混合溶液(9/1,8/2,w/w)に接触させたときに両ポリマー相の界面で粒子が分割されて半球状の粒子が生成される現象を見出しているが,その分割速度に及ぼす分子量の影響を明らかにし,その分割機構ならびに工業レベルの異形粒子の創製法の確立にむけて重要な知見を得,論文報告した(Colloid Polym. Sci., 2014, 292, 733-738)。 市販の蓄熱剤であるRubitherm 27 (RT27) の1μm前後のカプセル粒子を本研究者らが提起したSaPSeP法を用いるマイクロサスペンション重合にて作製し,粒子中のRT27の融解並びに結晶化熱(J/g-RT27)がカプセル壁のポリマー素材により大きく異なることを明らかにした。このことは,これまでの世界の常識とされてきた概念に異を唱える実験結果であり,今後の蓄熱カプセル粒子の創製技術の発展に大きな一石を投じるものと考え,学会発表した(PACOON2014, Kohn Kaen, タイ,2014.1.9)。
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