研究課題/領域番号 |
25288055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安中 雅彦 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40282446)
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研究分担者 |
松浦 豊明 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10238959)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 弾性イメージング / ブリルアン散乱 |
研究概要 |
本研究の基本的な構想は,人類の高齢化が急速に進む現在,加齢に伴う生体機能の変化,疾病による異常を分子レベルで理解することにある。生体機能場として重要なバイオハイドロゲルが関わる生体現象を,構造・物性・ダイナミクスの観点から,分子レベルで総合的に理解することを目的とし,平成25年度は,高速・高分解能in situ かつ in vivo条件で3次元弾性イメージングを可能にする分光器を作製することに注力した。 最終的な目標である「生きたままの状態」で生体組織の力学物性を解明するためには,非弾性散乱法であるブリルアン散乱法は,試料の粘弾性的性質を非侵襲的に直接測定可能な方法として有用であり,物質の特性解析に広く用いられてきた。しかしながら,Fabry-Perot干渉計,grating-basedモノクロメーター,あるいは光ビート法を用いる従来の光学系は,計測に長時間を有するため,計測をpoint samplingからイメージングへ拡張することは実用上不可能であった。この問題を解決するために,本年度は,ブリルアン散乱に高速かつ高空間分解能計測が可能な仮想的な回折格子(VIPAエタロン)をタンデム型で導入した分光器を共焦点光学系に組み込むことで,オプティカルセクショニングにより深さ方向の情報の取り込み可能な共焦点ブリルアン顕微鏡システム構築し,高速・高分解能で3次元弾性イメージングを行い,試料の局所的な粘弾性情報とその空間分布計測を実現するための光学系を設計,試作,最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VIPAエタロンは必要とする性能を指定して石英ソリッドエタロンを光学メーカーに作製を依頼しているが,測定に最適なs性能を有するエタロンの選定にやや時間を有している。さらに,本測定計は,顕微鏡の3次元スキャニング,分光系,解析系を総合的に制御する必要があるために,そのソフトウェアの開発に時間を有している。
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今後の研究の推進方策 |
高速で3次元イメージングを実現し,高解像度で分光を行うために分光計の最優先の課題であり,次年度も引き続いて,その開発を実施する。最適化後の分光器の性能確認は,ブリルアン周波数シフト,スペクトル幅が既知の試料(水,メタノール等)の測定で実施し,ノイズレベル,周波数感度を確認する。さらに,高速計測性能の確認は,紫外線硬化樹脂(光学接着剤Norland® 61)の硬化(化学架橋)過程の観測により実施する。本光学接着剤は,紫外線照射後,数十秒で初期硬化,数十分で完全硬化するため,性能確認に最適である。蓄積時間(integration time)は1秒を目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度計画の分光器の開発において,VIPAエタロンの生の最適化,共焦点系への組み込み,ソフトウェアの開発に遅れが生じたため,光学備品の購入を控えたため,次年度への繰越が生じた。 平成25年度計画分に購入計画予定であった光学部品の購入に充てる。
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