研究実績の概要 |
本研究では超高緩和性・高安定性・ターゲティング能を併せ持つ革新的MRI造影剤の設計原理をサンドイッチ型多核錯体Ln3TCA2を基体として検討する(Ln = ランタニド,TCA = チアカリックスアレーン).i)Ln3TCA2の安定性評価:まず全Ln系列に対し系統的にLn3TCA2の解離反応速度定数を求めた.安定性の序列は大まかに中希土>重希土>軽希土の順に低下することがわかった.重希土側ではYb3TCA2にみられるように配位水が多く,解離しやすいこと.軽希土側ではイオン半径が大きく,解離反応中間体を与えやすいことがこの序列の原因と考えた.温度変化測定により活性化パラメタを求めることに成功した.重希土のYbや中希土のTbはΔH‡が支配的であり,Eu, Sm, NdはΔH‡に関しては正であるもののエントロピー項TΔS‡の寄与も大きくなっていることがわかった. ii)ターゲティング能付与:TCAのスルホ基の修飾が困難であったため,カルボキシル基を導入した配位子を合成した.水酸基をメチル保護した後,p位をLi化し,CO2によりカルボキシル基を導入することができた.今後これを基に葉酸修飾を行う予定である.
|