現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)老人性白内障の水晶体から立体構造が既知であるβ-, γ-クリスタリンを単離精製し、β-, γ-クリスタリン中のどのAsp残基がどの程度D-β-体化しているのかを定量した。 2)蛋白質中に生ずるAsp残基の異性体はLα, Dα, Lβ-, Dβ-体の4種類の異性体が存在する。本研究ではこれらの4種類のAsp異性体を導入したペプチド (20残基程度)を化学合成し、Asp異性化のkineticsについて検討した。その結果、Lβ-, Dβ-体は安定であることがわかり、生体内でLβ-, Dβ-体を含む蛋白質の蓄積が多いことが説明できた。 3)Asp残基周辺にUVBの波長を吸収するトリプトファン残基を導入したペプチドを合成し、Asp残基の異性化がUVB照射によって促進するかどうかを検討した。その結果、Asp残基周辺にトリプトファン残基を導入したペプチドはコントロールと比較して異性化が進行したことが明らかとなった。 4)液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)による簡便、迅速、正確な蛋白質中の微量Asp残基の異性体部位の分析法を開発した。 5)様々な生物種におけるDAEP活性のスクリーニングを行った結果、脊椎動物以下では、脊索動物(ホヤ類)、棘皮動物(ウニ類)でその活性が認められた。一方、線虫や酵母、細菌類ではDAEP活性を検出することはできなかった。哺乳類におけるDAEP活性は肝臓 で最大であったが、両生類やウニ類では生殖巣や成熟未受精卵でその活性が高かった。
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