本年度は、昨年度までに開発を行った亜鉛イオンに対してレシオ型の蛍光応答を示すプローブの細胞イメージング応用についての検討を主に進めた。細胞膜に担持可能なリンカー部位を有する蛍光プローブを新たな合成し、細胞外から亜鉛イオンを添加したところ、細胞表層において明確な蛍光レシオ変化が観察された。今後に細胞から放出される亜鉛イオンの蛍光イメージング応用が期待できる成果である。 また本年度は、従来とは異なる分子デザインにより、単座リガンドでAMコンタクトによる蛍光波長変化を起こす新たな蛍光プローブの開発を進めた。金属イオンと配位するリガンド部位に立体的に嵩高い置換基を有する蛍光プローブを合成し、金属イオン配位に伴う蛍光応答を比較したところ、蛍光プローブの構造に依存して異なる波長変化を示すことを明らかとした。今後の分子デザインにより、より大きな蛍光波長変化を示す新しいタイプのAMコンタクト型蛍光プローブの開発が期待できる成果である。
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