研究課題/領域番号 |
25288087
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
蟹江 澄志 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60302767)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / デンドリマー / ハイブリッド / 液晶 / メタマテリアル |
研究実績の概要 |
本研究では,単分散性に優れた磁性・半導体・強誘電体・導電性球状ナノ粒子と液晶性有機デンドロン分子とを共有結合的にハイブリッド化することにより,ナノ粒子をコアとした“液晶性有機無機デンドリマー”を構築することを第一の目的としている.その手法と してまず,ナノ粒子の粒径とデンドロンの世代を制御することで,様々なサイズの“液晶性有機無機デンドリマー”を合成する.次いで,バイモーダルな粒径からなる液晶性有機無機デンドリマー”を混合することで複合超格子を構築し,メタマテリアル特性を示す有 機無機ハイブリッド材料を得る.さらには,得られた“液晶性ナノ粒子孤立内包ハイブリッド超格子”構造の相転移を誘起し,メタマテリアルとしての人工機能の ON-OFF に繋がる材料開発を行う. 本課題では,アミノ基を有する液晶性有機デンドロンと表面カルボキシル基を有する無機ナノ粒子とのアミド化が鍵となる.そのため,単分散性に優れた表面カルボキシル基修飾半導体および磁性ナノ粒子の合成法確立は不可避である.そこで本年度は,研究協力者と 連携し,主に錯体熱分解法によりその合成に取り組んだ.磁性ナノ粒子として Fe3O4 ナノ粒子,半導体ナノ粒子として表面カルボキシル基修飾 CdS ナノ粒子について着目し,それらの合成を行ったところ,当初の目的通り,単分散性に優れたナノ粒子を得ることが できた.さらに,アミノ基を有するデンドロンの表面修飾を行う手法を確立した.さらに,ナノ粒子表面へのデンドロン修飾量を段階的に制御しつつ密に導入する手法を開発することができた.昨年度は未修飾デンドロンの除去が問題となったがその改善も進み,次年度,最終年度に向け,ナノ粒子から成る超格子構造の形成に取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,平成26年度は,有機無機ハイブリッドデンドリマーの構築にあった.特に,量子ドットもしくは磁性ナノ粒子をコアとする有機無機ハイブリッドデンドリマーの合成法の目処が立ち,いずれも順調に進展し,さらにデンドロン修飾によりナノ粒子への流動性の付与についても確認されていることから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までに,有機無機ハイブリッドデンドリマーの構築が可能である事を見出すことができた.しかしながら,特に,磁性ナノ粒子からなる有機無機ハイブリッドデンドリマーに関しては,得られるナノ組織構造に関する精密な解析に至っていないのが現状である.最終年度は,量子ドットおよび磁性ナノ粒子の混合に取り組むことを想定していることから,その前段階である磁性ナノ粒子からなるハイブリッドデンドリマーのナノ組織構造解析は急務である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初物品費にて購入を予定していた分取 GPC システム用カラムにつき,事前実験を行ったところ,目的に十分たる性能が発揮されなかったため,昨年度に引き続き現在,精製条件につき再評価を行っている.再評価ができ次第,適切な物品を購入するための費用に充当すべく,次年度使用額が発生した.状況に応じ,精製装置をカラムクロマトグラフィーから先進分離機に変更する検討も行っている段階である.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,有機無機ハイブリッドデンドリマーのナノ組織構造評価が必須となる.この際,SPring-8 等での実験も必要にある事から,その旅費に充当したいと考えている.また,精製条件を探索する上で,機種選定が確定次第,物品費として計上し,購入したいと考えている.
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